夫だけでなく娘も発達障害? カサンドラ妻の終わらない「世にも奇妙な物語」
「どうして2人目産んだのよ!」と母に叱られる
どんどん自信がなくなっていき、自分を客観的に見ることができない。日常生活でこんなにも困っているのに、渦中にいるときは自覚ができず、助けを求めることができないのだ。
これまでの苦い経験から精神科に行こうとはもう思わなかったし、行ってどうにかなるとも思えなかった。でもやっぱり、誰かに助けてほしいと思っていたんだと思う。それで生理が再開したタイミングでPMS(月経前症候群)の相談をしに婦人科を受診しようとした。
診察券を入れ、問診票を書き、混み合った待合室で待つ。
ところが、いくら待っても呼ばれない。
たくさんいた患者が減り、私より後に来た人もみないなくなって、それでも私だけ呼ばれない。
おかしいなと思って受付に行くと、
「今日の診察は終わりで先生もう出ちゃいましたよ。なんでもっと早く言ってくれないんですか」
と言われた。
私は本当に悲しくなって、大人なのに堪えきれずその場で泣いてしまい、すると受付の人が迷惑そうな顔をしたのでさらに傷付き、昼間の人通りの多い街中をしゃくりあげながら家に帰った。
この頃から、「世にも奇妙な物語」が家の中だけでなく、外の世界にも広がりを見せるようになった。理不尽だと思うことが増え、仕事でも人と頻繁に衝突するようになる。何ひとつ、上手くいかない。
そして、私が弱れば弱るほど夫は家の中でも外でも荒れるようになった。
土曜日の昼間に飲みに出て、翌日の昼を過ぎても帰らないようなことが増えた。友達と飲みに行ったはずなのに、首にくっきりと指の跡をつけて帰ってきたこともある。それを見て私は「生まれて初めて生の扼痕を見た」と思った。なんでだよ、火サスかよ!
せっかく「夫が発達障害かもしれない」という可能性にたどり着いたのに、「サイコパスじゃないか」と言われて以来、それを誰かに相談する機会も見つけられなかった。そもそも発達障害について知っている人がいない。さらに、夫のコンディションには波があり、2〜3カ月に一度、不機嫌を爆発させるときがあり、そのたびに新しい問題を起こしてくる。結婚生活の問題点を振り返ってまとめる時間がちっともない。
もちろん、あまりに問題が深刻になったときは人に話すこともあった。けれど、母に泣きついたときには、母は私の動揺を受け止めることができず「どうして2人目産んだのよ!」と私を叱りつけることで話を終わらせた。
多くの友達は、話を聞くと泣きそうな顔になってしまうので、何度も相談することがはばかられた。ハッキリ意見をくれた子もいたが、それは「男は、褒めて尽くして感謝して転がすのよ」というものだった。多くの友人が集まるBBQで夫のことを褒められたことがある。たまらず、「いやーそんな良いもんじゃないんだけどね」と言ってしまったら、それを聞いた男友達に「わざわざ自分の夫を外で貶めるなんてよくない」と咎められた。
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