美川憲一、井上陽水、研ナオコが芋づる式に挙げられた昭和芸能界の麻薬汚染

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 今年はピエール瀧、元KAT-TUNの田口淳之介と大物芸能人の薬物事件が相次いでいるが、1977年(昭和52年)はその比ではなかった。井上陽水、研ナオコ、桑名正博、美川憲一……。芋づる式に十数名の芸能人がクスリで検挙されたのである。

 のちに「芸能界麻薬汚染事件」と名付けられた一連の事件の火付け役となったのは岩城滉一だった。77年7月、暴力団から入手した覚せい剤を使用したとして、覚せい剤取締法違反で警視庁に逮捕された。

 それからは、まさに雪崩を打つかのようだった。8月にジョー山中、9月に井上陽水、内田裕也、研ナオコ、内藤やす子、10月に桑名正博、錦野旦、美川憲一、11月に上田正樹と、半年足らずで次々と大物歌手が大麻取締法違反などで検挙されていったのである。

 芸能レポーターの石川敏男氏が振り返る。

「当時、アメリカのヒッピー文化が流入したことがきっかけで、ミュージシャンを中心に大麻が流行しました。73年に井上陽水が発表した『夢の中へ』に出てくる“探しものはなんですか”という歌詞は、薬物を指しているという都市伝説があったので、陽水の逮捕を受けて、やはり!と話題になりました」

 捜査は、警察と厚生省(現・厚労省)麻薬取締部、通称マトリとの間で、競い合うかのように全国で繰り広げられた。

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