岡崎聡子また覚醒剤で逮捕! 有名人と薬物の親和性をマトリの人間が語る

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 元オリンピック代表体操選手の岡崎聡子が、覚醒剤使用の容疑で今年4月、警視庁に逮捕されていたことが6月19日伝えられた。過去にも複数回、薬物事件での逮捕歴があり、近年では、この手の話題でしか報じられることがないが、全盛期はアイドル的な人気を博していたスター選手だった。

 芸能人やスポーツ選手などの薬物関連のニュースは絶えない。もちろん、実際には有名人以外の逮捕者のほうが圧倒的に多いのは間違いない。しかし、一般に与える印象としては「またしても有名人が……」というものになる。

 実際のところ、芸能界、スポーツ界には覚醒剤に近づく特殊な要因でもあるのだろうか? また、有名人を狙い打ちして捜査しているということはあるのか? 

 ノンフィクション作家の溝口敦氏は、著書『薬物とセックス』の中で、この素朴な疑問を厚労省麻薬取締部(通称・マトリ)の関係者に直接ぶつけている。それに対する答えを見てみよう(以下、同書より引用)

「彼ら有名人は浮き沈みの激しい非常に狭隘(きょうあい)な世界に生きています。また彼らに忍び寄る連中も多いと思います。暴力団周辺者とか、街の遊び人とか。有名人に関しては情報が漏れにくい点もあります。

 その上で私たちが取締りの現場で感じていることは、彼らの中には、彼らの年齢とか職業に相応する社会性を有してない者が多いんじゃないか。いわゆる人間教育がなされてないということです。例えば幼少期からの英才教育などで音楽やスポーツ、その他の分野で特異的な能力を発揮してると思うんですけど、一般的な人間としての教育が不十分なような気がします。

 収入にしても、一般人が一生をかけて稼ぐような額を1年で稼ぐ者もいます。金銭感覚も変わってきます。そういったところにも問題がある。特に著名なスポーツ選手にはある種の公の意識が必要だと思います。社会や子供たちに対して夢を与え、希望を与えなければならないのに、その点も職業倫理が欠如している。大人として未熟である。それが彼らの脇の甘さにつながるんではないか。のちのちリスクがあることも理解していない。公務員や会社員だったら逮捕で懲戒免職です。全てを失う。芸能人は何かといいながら一線に戻ってくるんですが、厳しいところがありますね。(略)

 捜査現場が逮捕した被疑者に、こういう説教じみたことはなかなか伝えられないのですが、われわれの経験の中では特に世間知らずで挫折経験のない著名人とか、裕福な家庭で育った子供たちとかは人として未熟な者が多い。学生時代に一過性で仲間内で大麻を吸ったとか、ちょっと薬物をやったとかでも、社会に出た後、立ち直り活躍している子はかなりいるんですが、彼らのように社会的地位があって、収入があっても脇が甘いと、薬物に嵌(は)まってしまう可能性が高い」

 逮捕の反響が大きいので目立ちがちだが、実際には有名人ばかり狙い打ちしているようなことはないのだ、とこの関係者は言う。

「(逮捕された有名人たちは)氷山の一角ではないか。多くの情報が我々のところにも寄せられます。そうした情報は具体的に犯罪事実を構成できるようなものは少ないし、他に多くの事件を抱えていますから、基本、我々が手掛けるケースはかなり少ない。薬物犯罪に軽重をつけることはできないが、より社会的にダメージが大きい大型の組織犯罪には重点を置かなければいけない」

 たとえば、2014年には危険ドラッグの乱用で多くの死傷者が出てしまった。こういう社会問題には最優先で対応する必要がある。他方、有名人の事件の場合、組織犯罪などではなくあくまでも個人の単純所持、使用だ。人手の問題もあり、そうした犯罪を最優先するわけにはいかない、というのだ。

 逆に言えば、逮捕されるのはあくまでも氷山の一角、実は報じられている以上に、薬物に手を出している有名人はかなりいるだろう――これが専門家の見立てなのだという。

デイリー新潮編集部

2019年6月27日掲載

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