「#KuToo」石川優実さんがフェミニズムに目覚めた「お菓子系アイドル」時代の壮絶体験
話が違う! 誰一人味方がいなかった撮影
以前、某グラビアアイドルをインタビューする機会があり、リサーチのために初めてグラドルのDVD作品を鑑賞した。率直な感想は「なんじゃこりゃ!? AVより過激じゃん!」だった。なんでおっぱいをカメラにグイグイ押し付けているの? なんでローションを体に塗られて多くの男性の手からくすぐられているの? この作品の意義って何?
てっきり映画のようにストーリーがあるものだと思っていた。一応セリフはあるものの、起承転結もないし……。疑問符だらけで、以前幼女専門のDVD店に足を踏み入れたときと似た心境になった。そう石川さんに伝えると、グラビア界の問題点について語ってくれた。
「グラビアDVDって、AVまで行かないところでどれだけ男性に買ってもらえるか、を重視しています。出演しているモデルの人権なんて考えていないメーカーが多いですね。
今、弁護士さんを通して係争中の過去の作品があるのですが、その撮影の直前に『ギリギリを狙いたいからニプレスをつけないで』と、意味のわからないことを言われて。でもそのときは従うしかなかったんです。
そしたら当然ポロリしちゃいますよね。当時の私は乳首とヘアはNGだったので、ポロリしたシーンは使われないと思っていたのに、実際は乳首が写っているシーンも含めて販売されちゃったんです。でも、当時は『脱がないと仕事をあげられない』『売れてないから脱がないとしょうがないよ』というメーカーさんがとても多かったです。
当時、私は『クリーム』という雑誌で水着や制服姿で10カ月連続撮り下ろしをしていただいていました。雑誌内での人気ランキングも1位になっているのに『もっと露出を多くしないと撮ってもらえないよ』とマネジャーに言われるんです。なんでランキング1位なのにもっと脱がないといけないのか意味が分からないけど、そういう業界なのかと受け入れてしまいました。
私はそれを強要だとは思ってはいないのですが、事前に細かく話し合ったにもかかわらず、現場に行くと撮影の内容が違った、ということはたまにありました。
私はTバックは解禁していましたが、ある日お尻を全部出してほしいと言われ、それは断ったんです。でも、『撮影時はTバックを穿いていていいから、後で修正でTバックを消してお尻を出しているように見せて発売する』と言われたんです。
『違う、別に現場で脱ぐのが嫌なのではなく、それを発売されるのがダメなんです』と言ったのに『もうその条件で仕事を引き受けてしまっているから困る』とマネジャーに言われ、思わず泣いてしまっていると、スタッフさんたちから『早くしろ』というような雰囲気を作られ、涙で崩れたメイクをメイクさんがめんどくさそうに直していました。誰一人自分の味方がいなかったあの撮影の日のことは、今でも忘れられないです。
実際、脱ぎたくなければ脱がないで売り出す方法もあるはずなんですが、脱げばすぐに大人にお金が舞い込むので『売れないから脱がなきゃいけないと思わせよう』という雰囲気に持っていく関係者もいました。真面目な子や気が弱い子ほど引っかかりやすいです。『自分は可愛いから肌を露出しなくてもいいでしょ』という自信のある子は狙われないです」
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