巨人、投手コーチ3人体制で露呈した首脳陣の亀裂、水野雄仁コーチは戦々恐々?

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 2014年以来のV奪還を目指す巨人の内部に不穏な動きが出ている――。

 それは5月末に行われたコーチの配置転換がきっかけだ。三沢興一・2軍投手コーチが1軍投手コーチに格上げとなり、1軍の投手コーチは、宮本和知・投手総合コーチと水野雄仁・投手コーチの“3人体制”となった。その理由は、「投壊」=防御率の低迷である。3、4月は3.54だったが、5月に入ると4点台に悪化してしまったためだ。

 こうした現状を打開すべく、異例ともいえる球宴前の「投手コーチ3人体制」で、難局を乗り切ろうと考えた原辰徳監督だったが、宮本コーチと水野コーチの関係がそもそも良好だと言える状況ではなかった。ふたりは今季からコーチに就任したものの、その指導力には疑問符も付いていた。

 宮本コーチと水野コーチは、春季キャンプの頃からお互いに牽制しあっていた。二人とも日本テレビの解説者出身で、タレント性もあるので似たもの同士ともいえる。だが、原監督は宮本コーチを重宝しており、就任当初から水野コーチはその冷遇に面白くなかったようだ。宮本コーチがベンチ担当、水野コーチがブルペン担当と役割分担をしていたが、ギクシャクした関係が続くなかで、防御率も低迷し、不調を問う責任の擦り付け合いも起こっていたという。

 投手コーチ同士がうまくコミュニケーションをとれていなければ、チームの戦略に影響を及ぼすのは必然といえる。

 投手陣にも動揺が走り、「自分はどっちの指示を受けて調整したらいいのか」不安が募っていった。さらに、1軍に昇格した三沢コーチが“1軍の指導者”として優秀なのか、それにも疑問符が付く。スタッフ内にも「なぜ、一軍に上げたのか、わからない」との声がもっぱらだった。当然、三沢本人も、突然の昇格に驚いていた。ファームで三沢を兄貴のように慕っていた若手投手たちは、信頼できる指導者を失って大いに戸惑っているのも頷ける。

 しかも、「3人体制」の役割分担が不明確であり、原監督の「懲罰人事」ではないかという不穏な見方も出ている。

 三沢コーチが昇格したことで、水野コーチは「2軍へ配置転換されるのではないか」「今季限りでクビになるのではないか」と怯えていたようだ。水野コーチは去年まで巨人戦の解説者で、歯に衣着せない直球コメントが売りだった。テレビ中継で勉強不足の実況アナを酷評したほか、「勝とうとする意識が足りなから、こいつは負けたんです」と痛烈に批評する「怖い言動」もあった。若手選手たちは寮のTVで、それを見ながら震え上がっていた。

 三沢コーチは、「TVスター」の水野に比べて、若手選手からは年齢以上に距離感が近く気さくで親しみがある。さらに、宮本コーチと三沢コーチは五輪でメダルを獲得した実績を持つが、水野コーチにはそれがなく、若手選手からも「自分たちが知らない過去の人」と軽んじられている。就任当初、この不明確なブルペン担当人事を決断したのは「監督責任」ではなかったのか。水に落ちてもがく水野を、原監督は見捨てているように見える。まさに、水野コーチはチームから孤立し、崖っぷちに立たされ、まさに“正念場”だといえるだろう。

 巨人は交流戦で好調をキープしているが、今後、首脳陣の間に入った“亀裂”がV奪還を目指すチームの勢いに水を差す可能性は否定できない。

週刊新潮WEB取材班

2019年6月24日掲載

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