中朝会談、習近平は金正恩を米国に売るのか “北朝鮮分割”という最終手段

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「金正恩体制解体」に反対者なし

――どうやって北朝鮮の政権を交代させるのですか?

鈴置: 中国が経済封鎖を実施し、食糧や肥料の輸出・援助もすべて止めれば、金正恩体制は長く持ちません。動揺を見定めて人民解放軍を送り込み、トップに中国派を据えてしまえばいいのです。中国には「地続きの利」があります。

 核を弄び、他国民を拉致するテロ政権を倒すのですから、文句を言う国は出ません。不満を表明するのは、北朝鮮とスクラムを組み「民族の核」保有を目指す韓国ぐらいでしょう。が、文在寅(ムン・ジェイン)政権に「金正恩体制解体」を阻止する力はありません。

 ポンペオ(Michael Pompeo)国務長官も、CIA長官時代の2017年7月20日、公開の席で堂々と「金正恩の首のすげ替えが最も正しい非核化の方法である」と語っています。

 ただ、米国と日本は北朝鮮を中国に占拠されても困ります。人民解放軍が半島を南下するうえ、日本海側に中国の軍港を作られたら脅威となるからです。

 その際は米国も軍を送ることになると思います。北朝鮮の核・ミサイル施設を発見、破壊するにも、治安維持にも軍の力が必須です。

分割統治案が登場

 米軍と近いランド研究所(RAND Corporation)が2013年に『Preparing for the Possibility of a North Korean Collapse』という報告書を発表しています。

 タイトル通り「北朝鮮の崩壊への備え」を論じたもので、第9章は中国の介入に関し検討しています。要は「北進した米韓軍と、南下した中国軍が北朝鮮を分割占領すべきだ」との主張です。

 275ページには地図が付いています。それを元に作った地図が「ランド研究所の北朝鮮2分割案」です。

 占領行政を分担するだけではありません。米中両軍ともに戦車など重武装の部隊を派遣するので、線引きして衝突を避ける必要もあるのです。もちろん、どこで線を引くかは米中が話し合うことになります。ランド研究所は3案を提示しています。

 一番上の線は中朝国境から50キロ離れたライン。真ん中の線は首都・平壌が米韓側に含まれるよう引いたものです。一番下は平壌と日本海側の大都市、元山(ウォンサン)のそれぞれ中心部をつないだ線です。平壌は南北に2分割されて統治されるわけです。

ロシアは「亡命カード」発動か

――ロシアは口を出しませんか?

鈴置: 当然、出してくるでしょう。ロシアも「介入カード」を持っています。金正恩委員長の亡命先になることです。平和裏の政権交代を目指すなら「核を捨てろ。命だけは助けてやる」と金正恩氏を説得する必要があります。

 でも、金正恩氏は中国と米国は信用していません。そこで比較的に関係の良好なロシアのプーチン大統領が「家族と一緒にうちに来い。匿ってやる」と説得するアイデアです。

 出所がはっきりしないのですが、もう1枚、興味深い地図があります。韓国・毎日経済新聞社系の放送局、MBNがニュースで流したものです。

 中国による北朝鮮分割統治案なる代物です。韓国の市民団体が韓国政府の資料の中から発見した、と報じました。

朝鮮半島の統一シナリオ、4カ国が分割統制か?」(2015年8月4日、韓国語による動画)で見ることができます。それを基に作成したのが「北朝鮮4カ国分割統治地図」です。

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