発達障害夫が問題ばかり起こすのは「あなたの愛が足りないから」と姑に言われ絶望した件
「やめて」と頼んだことに限って必ずまたされる
全てを話してくれた義母は「あの子は、本当は優しい子なの。叱って育てたからこんなことになってしまった」と私に懺悔するように言った。それが夫を育てた彼女の結論だったので、当然私にもこう言った「だからあなたが愛してあげればあの子は暴れなくなるはずなの。愛が足りないのよ」。
義母は本当に優しく尊敬できる人柄で、良い母親をイメージするとき自然と彼女を思い浮かべるほどいまだに大好きな人だ。でもこの時はさすがに無茶苦茶だと思った。
ーーおかあさん、あなたの息子が暴れん坊なのは私のせいじゃありません。だってこれ、今に始まったことじゃないじゃない。
もちろん口には出さなかったがムッとした気配は電話口から伝わっただろう。電話を切った後も気不味い思いはぬぐえなかった。
話を聞いたら益々、彼の不安定さの原因が「愛が足りない」なんて漠然としたものだとは思えない。「もっと愛する」どころか、おかあさんが泣きながら話してくれた彼の過去のエピソードを聞いて「ああ、おかしいのは彼だった、私じゃない!」と思っている私は、どうやったって彼の味方ではありません……。
そして、私はそれらの特徴をネット検索にかけた。
すると出てきたのが、2ちゃんねるの「旦那が発達障害かも!?な奥様」というスレッドだった。
そういえば結婚する直前くらいに、夫が「上司から、お前発達障害じゃないのと言われた」と、言っていたことがあった。
ところが、私はそれを否定したのだ。「違うよ〜。だって発達障害って知的な遅れのない自閉症でしょ? こんな簡単に人と付き合ったり暮らしたりできないでしょう?」と。
なぜなら私はドナ・ウィリアムズの『自閉症だったわたしへ』(新潮文庫)を通じてしか高機能自閉症を知らず、しかも触られるのが大嫌いだという感覚過敏に対する記述しか覚えていなかったから。
にもかかわらず、そのスレッドに書かれた旦那さんへの愚痴エピソードのほとんどは私にも身に覚えがあるものだった。これまで友人に話してもカウンセラーに話しても「男なんてそんなもんよ」と全く共感されなかった小さな違和感が上手に言語化されていた。
例えば、食事に対する執着。大皿に盛って出すおかずは全部食べられてしまうことはあるあるで、お酢事件もこの延長だったのかと腑に落ちたこと。
一緒に出かけるとどんどん先に歩いて行ってしまい、しかも声がけも理由もなく行き先へのルートから外れたりすること。
気にくわないことがあると一人でブツブツ言いながらこれ見よがしに大きな物音を立てて家中を歩き回ること。
先の休みに遊びに誘っても返事を保留され結局当日まで予定がわからずどこにも行けないこと。
「やめて」「やらないで」と何度も頼んだことに限って必ずまたされること、など。
私と同じような体験をしている人がたくさんいる! と知ったとき、ホッとして涙が出た。一人じゃなかったことへの安堵だった。これまでずっと孤独で不安だったことに、自分でも気付いていなかったのだ。
そうか、夫は発達障害だったのか。
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