発達障害夫が問題ばかり起こすのは「あなたの愛が足りないから」と姑に言われ絶望した件
「カサンドラ症候群」(以下、カサンドラ)とは、発達障害の一種「アスペルガー症候群」(以下、アスペルガー)の夫や妻、あるいはパートナーとのコミュニケーションが上手くいかないことによって発生する心身の不調です。特に夫婦関係で多く起こると言われていますが、最近ではアスペルガーの家族や職場・友人関係などを持つ人に幅広く起こり得ることが知られています。本連載「私ってカサンドラ!?」では、カサンドラに陥ったアラフォー女性ライターが、自らの体験や当事者や医療関係者等への取材を通して、知られざるカサンドラの実態と病理を解き明かします。
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夫が過去に起こした「事件」の真相
夫に指示語が通じていないことが発覚して思い出したのはこれまでに彼に感じた違和感の数々だった。
私たちは学生時代からの知り合いで、共通の友人も少なくない。趣味が豊富でフットワーク軽く飲み会に顔を出す彼の周りにはいつもたくさんの人がいた。
けれど、長い付き合いの中で何度か、仲良くしていた後輩と連絡が取れなくなったと落ち込んでいるところや、飲み会の店から店への移動で他の人から撒かれている(!!)ところを目にしたり、酒の席でタチの悪い喧嘩をしていたらしいとか、彼が過去に何か事件を起こしたらしいという心無い噂話を耳にしたことがあったこと。
また結婚前の挨拶のとき、彼のおかあさんから「この子のどこを好きになってくれたの?」と聞かれたのだが、私の回答に彼女が不安そうにしていたこと、結婚式に来てくれた恩師が「本当にこいつでいいのか?」と真顔で言ったこと。
夫が「会社で毎日上司から酷く怒鳴られる」と愚痴っていたこと……。頭の中を数々の記憶が走馬灯のように駆け抜けていく。
それで、まずは夫の母に彼の生育歴、特に思春期に起こしたらしい事件が本当のことなのか聞いてみようと思った。
なんとかオブラートに包んでうまく聞き出せないかと思ったのだが、何度も書き直した結果諦め、単刀直入に「突然すみません、彼が未成年の頃に事件を起こしたことがあるというのは本当ですか。よければ詳しく教えてください」とメールをした。
すると当たり前だが「どうしたの」と慌てた返事が来たので、上の子を妊娠して以来、人が変わったようになってしまったこと、夫婦仲がうまくいっていないこと、解決したいがもう打つ手がないので状況を打開するためのヒントを探したいので彼の生育歴を詳しく聞きたいと綴ったところ電話がかかってきた。
ところが涙声で「あなたも殴られたり怒鳴られたりしているの……!?」と言ったきり、彼女が言葉に詰まってしまったので驚いた。何かあるだろうとは思ったけれど、義母の反応は私の想像を超えている。
泣いている義母にこれ以上質問するのは心が痛むが、お互い二度も三度もこんな気まずい電話には耐えられないだろう。だから重ねて「彼の過去を教えてください」と頼んだ。動揺を隠そうとするあまり冷たく聞こえたかもしれない。
聞いた話をまとめるとこうだ。
夫は小さい頃から大変に元気な子供だった。常に走り回っていたので、ちょっと買い物に連れて行くだけでも見失ってしまうし、家の中でもタンスの上から妹に飛びかかるような有様だったので、いつも叱りつけていなければならなかった。
小学校くらいになると怪我や事故はしょっちゅうで、一緒に外出して一瞬でも目を離せば何かをやらかし、親がついていても通りすがりの他の大人から怒鳴られることが珍しくなかった。
また学校では同級生とうまくやれず孤立しており、思春期になると家で暴れるようになったが、「事件を起こした」その真相は、暴力事件ではなく薬物中毒だった。
更生のための鑑別所から出所して数年後、私と出会ったのだ。
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