地図マニアが“日本の国境が変わった”と大騒ぎ、「与那国島の新地図」に重大異変!!
存在は知っていたのですが
トゥイシは、小笠原諸島に新たに出来た西之島のような島なのか? それとも岩礁? いや、与那国島の一部? 早速、国土地理院に聞いた。
「お問い合わせありがとうございます。岩礁か島かを決める権限は私どもにはないのですが、少なくとも新たにできた島ではありません。これまでも5千分の1の地図には海岸線の一部として表記されていたもので、存在は確認していました。しかし、これまでは、干潮では頭を出すけれども満潮になると沈んでしまう陰顕岩とされていました。しかし、どうやら違うらしいという情報があり、2年前に職員が現地に赴き、満潮時でも見えることを確認できたことで表記することになったのです」(国土地理院基本図情報部管理課)
えっ? 2年前に確認していた?
「そうです。今回は与那国島の自衛隊施設や道路の変更があったので、地元からの申請もあり、合わせて更新することになりました。トゥイシというのは昔から地元で呼ばれている名称です」(同)
いずれにせよ、最西端の位置が変わったわけである。国土地理院は、西之島がさらに育って、管轄海域も増化したことは報道発表しているのに、トゥイシについては全く発表していない。もしや、中国や台湾の反応を気にしたのだろうか。
「いえいえ、そんなことではありません。確かに、我々もトゥイシが常に頭を出していることは知らなかったわけですが、通常、更新時に報道発表はしていません。一方、西之島の場合は、EEZ(排他的経済水域)にも影響があったものですから、発表しました」
260メートルとはいえ、最西端が広がったのだから、EEZも台湾、中国側に広がったはずである。
「それは、海上保安庁さんに確認いただいたほうがいいかと思います」
海上保安庁はこう言う。
「海上保安庁は、平成28年にすでに与那国島周辺の海図を改版しております。ですから、今回の国土地理院の地図によって、新たな管轄海域の変更はありません」(海上保安庁海洋情報部)
日本の海域の変更はないようだ。
では、我々一般人に与える影響はあるだろうか。実は日本の東西南北で唯一民間人がたどり着けるのが、与那国島の日本最西端であった。最北端は北方領土の択捉島、最東端は小笠原諸島の南鳥島で、海上自衛隊と気象庁の職員、南鳥島港湾保全管理所の職員がいるのみ。最南端は沖ノ鳥島。これらは一般の上陸は不可能だ。
日本の端っこを観光資源として、「日本最西端の証」も発行する与那国町はどう考えているのだろうか。
「トゥイシ? ああ、岩ですよ。観光面では、これまで通り、最西端は西崎でいきますよ。最西端の碑も変えません。あくまで地図上の話だけですよ」(与那国町総務課)
あっさり、岩と言い切る。では、その岩に上陸することはできるのだろうか。干潮時なら歩いて渡れそうな距離だが、
「うーん、容易にアクセスはできませんよ。地図だと近いように見えるでしょうが、西崎は岬ですから、海側は断崖。ここに降りることはできません。大潮の時にでも、大きく迂回して行けば……いや、やめた方がいいですね」(同)
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