受験失敗、昼夜逆転、幼児に性的関心、トイレ籠城…ひきこもり危険シグナル一覧

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「拭いても拭いても」

「東京家族ラボ」主宰の池内ひろ美氏が続ける。

「どんどん夜型になって、生活も不規則化し、1日2食で食前食後にオヤツというパターンが多く、部屋にコーラやお菓子がたくさん転がっているケースが散見される。その結果太ってしまい、ますます外に出たくなくなる傾向も見られます」

 こうした悪循環に陥ったひきこもりの多くは、

「起きている間中、ずっとネットやゲームをやるようになります。ネットを通じて仲間を探し、あくまでネット上のものではありますが、友だちを作ることで、孤独感を誤魔化すことができるからです」(山脇氏)

 また必然的に、

「彼らは食品をはじめ、フィギュアやゲームなど、好きなものをネットで購入します。もちろん、支払いは親の金です。なかでも、幼児モノのアダルトDVDや写真集を買う人が多い。ひきこもりの人は他人とのコミュニケーションがとれないので、男性であれば同世代の女性と話すこともできませんし、恐怖の対象にさえなる。そのため、自分よりも弱い存在である幼児に性的関心が向かう人も、中にはいるんです」(押川氏)

 そして症状が高じると、

「強迫性障害によって、お尻を拭いても拭いても綺麗になったと思えず、長時間トイレにこもるようになるケースも見られます。自宅のトイレを占拠し、家族に近くのコンビニのトイレを使うよう命令するひきこもりもいました。トイレを支配することで、親子の支配関係が逆転していくことが非常に多いんです」(同)

 排泄の場が、親排除のきっかけの場に……。ひきこもり問題においては、たかがトイレ、されどトイレなのである。

週刊新潮 2019年6月13日号掲載

特集「あなたの隣にいる 『中年ひきこもり』の正体」より

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