3.11から8年、一進一退の「廃炉」現場(KAZUYA)
3.11から8年。
福島第一原発の現状はどうなっているのかと思い、先日、見学してきました。
4月には安倍総理も5年半ぶりに視察に訪れており、その際は防護服も着用せずスーツ姿だったのが印象的です。現在は発電所内の96%が一般作業服での作業が可能になっており、視察の際は特別な装備も必要ありません。
現在も日々4千人(うち福島県民が約6割)もの作業員が廃炉作業に従事しています。そうした多くの人の努力で着実に廃炉作業は前進しているのです。今後は残っている核燃料と核燃料デブリの取り出しを行いますが、やはり道のりは遠く、今後30から40年続く見込みです。僕は強硬な原発反対派ではありませんが、やはり原発はリスクが大きいことを思い知らされます。
見学して圧倒されるのはタンクの多さです。燃料デブリを冷却するための水が燃料デブリに触れると、高濃度の放射性物質を含んだ汚染水となってしまいます。厄介なのは建屋に地下水や雨水が流れ込んで混ざり、汚染水が増えてしまうことなのです。地下水の汲み上げや「凍土壁」で周辺を囲うなどして、地下水の流入自体は減っているのですが、それでも完璧に防ぐことは難しく、汚染水は貯まり続けています。
浄化処理を行うことで汚染水から大半の放射性物質を取り除くことが出来ますが、トリチウムは残ってしまいます。この浄化処理水をタンクで保存しているのです。そして処理水の行き場がないままタンクが増え続けていくと……。現在はタンクが900基を超え、増設しても数年後には敷地内での保管容量の上限に達する見込みです。
トリチウムは水素の仲間でエネルギーも弱いものですから、国内外の原発などでは管理された形で海や大気に放出されています。他では流しているのに何故福島では出来ないのかを考えると、風評被害の影響が大きいからでしょう。
さらに困ったことが昨年報道されています。タンクで保管されていた75万トンもの浄化処理済み水の中にトリチウム以外の放射性物質が基準値以上で含まれていたことが発覚したのです。環境に放出する際は再処理を行うことで基準をクリアするとしていますが、東電大丈夫かよと不信を招いています。
最終的には海に流すしかないと思いますが、漁業関係者への影響は大きいでしょうし、慎重にアングルを組む必要があります。
他では流しているのに「フクシマ」では風評被害の恐れがあるというのも、人々の記憶にこびりついた更新されないイメージと結びついているからでしょう。それだけ重大な事故だったわけですし、放射性物質は見えないからこその恐怖があって、仕方ないと言えばその通りです。
しかし、まず日本人が現状を知った上で認識を改めなければ、震災からの真の復興へは繋がらないのではないかと思います。