「美空ひばり記念館」で仏壇に手を合わせ、同じ部屋で食事する

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 昭和の歌姫・美空ひばり(享年52)の楽曲が、平成の間に2千万枚以上売れ、累計1億枚を突破したことが発表された。今年で没後30年。令和になっても熱が冷めていないのか、東京・青葉台の私邸を改装した「美空ひばり記念館」を、訪れてみることにした。

 入場料を払うと、まずは美空の一生をまとめた13分の映像を見る。これが終わると、加藤家の家紋が施された美空の愛車・キャデラックリムジンが置かれたガレージへ。続いて桜の大木にはじまり、アジサイ、つつじ、カエデと四季折々の植物が綺麗に整った庭園に通される。展示品がなく、この頃には記念館に来たことも忘れてしまう。

 だがそんな心も、和室に案内してくれた係の女性の、

「あちらにお仏壇がありますので、もしよろしければお参りをお願いします」

 との声で、一気に我に返る。驚くことに、記念館では美空の仏壇に手を合わせることができるのだ。さらに、

「ひばりさんの大好きな心太(ところてん)を用意いたしました」

 と、美空が実際に食事をしていた場所で、彼女の好物を食べられるイベントが。これには70代の女性客も、

「まさかひばりさんと同じ部屋で食事できるなんて嘘みた~い」

 と少女の笑顔に戻る。食べ終わったら見学終了。

「実は元付き人や元家政婦など3人の女性が今も住み込みで働いているんです。仏壇へのお供え物も1日3食しっかり作って、部屋の掃除も毎日している。記念館が綺麗に保たれているのも、この人たちのお陰なんです」(音楽業界関係者)

 年号で区切れない想いに触れられる記念館だった。

週刊新潮 2019年6月13日号掲載

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