「久保建英」が代表デビューでファンを魅了、サッカーメディアの見出しは的外れ

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弱かったエルサルバドル

 6月9日、キリンチャレンジ杯のエルサルバドル戦が行われ、日本は4年ぶりに日本代表へ復帰した俊足FW永井謙佑の2ゴールで2-0の勝利を収めた。

 そしてこの試合では、期待のルーキー久保建英が18歳と5日で日本代表にデビュー。市川大祐の持つ「17歳と322日」に次ぐ年少出場記録(2位)を樹立したものの、ゴールは奪えず。日産で活躍した金田喜稔が持つ「19歳と119日」を超える最年少得点記録の更新は、17日から始まるコパ・アメリカに持ち越しとなった。

 試合前日の会見で森保一監督は、久保のベンチ入りを示唆した。槙野智章が負傷で離脱し、香川真司も負傷によりプレーできない。そしてベンチ外は、GK川島永嗣とFW岡崎慎司の可能性が高いことを明らかにしたからだ。

 その言葉通り、ベンチ入りした久保は後半22分に南野拓実と交代でトップ下に入る。すると後半28分、大迫勇也のパスを受けるとペナルティーエリア右でマーカー2人を軽快なステップでかわして左足でシュート。これはGKに防がれたものの、その後も意表を突いたパスやドリブル突破でエルサルバドルの反則を誘ったり、ワンタッチのパスでチャンスを演出したりした。

 そんな久保のプレーを多くのメディアが絶賛した。いずれも電子版から、ご覧いただこう。

◇「久保建英、デビュー戦でスタンド魅了! 森保Jは永井謙佑の代表初得点を含む2発で快勝!!」(サッカーダイジェストWeb:6月9日)
◇「久保建英18歳5日での代表デビュー ボール触るたびにスタジアムどよめき」(デイリースポーツ:6月9日)
◇「令和初勝利の森保J 久保にくぎ付け!待ってました年少2番目A代表デビュー」(スポニチアネックス:6月10日)

 確かに久保は凄かったと思う。それはスーパーなプレーをしたからではない。18歳にもかかわらず、平然と「いつものプレー」をしていたからだ。そしてその原因は、エルサルバドルが弱かったということに尽きる。

 エルサルバドルは前半の45分間、シュートはゼロに加え、日本のペナルティーエリアに入ることすらできなかった。メキシコ人のカルロス・デロスコボス監督自身、エルサルバドルが所属する「北中米カリブ海サッカー連盟はアジアより下」と断言したように、地盤沈下は著しいのかもしれない。

 そんな相手に対して、久保の代表デビューの印象は、「こんだけうまい選手が集まれば、ひとりくらい入っても、別に違和感なくやれるだろうなって思っていたので、そういう意味では短い時間でしたけど、自分がやるべきことは示せたのかなと思います」と、いつもながら冷静に分析した。

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