53歳2児の父は「NISA」と「つみたてNISA」どちらを選ぶべきか 専門家が教える定年後設計

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 年金、住まい、資産運用……そろそろ真剣に「定年後のお金」について考えないといけない、そんな現役世代の人たちに、創立16年のお金の学校「ファイナンシャルアカデミー」(https://www.f-academy.jp/)の講師陣が定年後の設計方法をわかりやすく指南します。第5回も講師は引き続き、某大手証券会社出身でファイナンシャルプランナーでもある小野原薫先生。「53歳2児の父は『NISA』と『つみたてNISA』どちらが良いのか」と題して、話題のNISAについて教えてもらいました。

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読者代表:吉田正史さん(仮名・53歳)
新卒で入った中小企業で営業として勤続31年。高校生の長女と中学生の長男を育てる2児の父だ。年収は650万円で、マイホームは35歳の時に35年ローンで購入したが、目下の不安は退職後のお金のやりくり。「投資信託」についても学び、具体的な資産運用をそろそろ始めようと考えているところ。

吉田さん:先生、iDeco、投資信託とお聞きしてきて、いま一番気になっているのが「NISA(ニーサ)」なんですが、よく耳にするものの、これも正直よく分からなくて…。なんとなくお得そうな感じはしているものの、実際どうなんでしょう?

小野原先生:少額投資非課税制度=NISAについてですね! まずNISAの前に、事前の知識として知っていてほしいのが、税金についてです。

吉田さん:税金、ですか。

小野原先生:はい。株式、投資信託、外貨…、なんでもそうなんですが、運用した時の利益に対して、どのくらいの税金がかかるかというと…

吉田さん:え!?そもそも税金がかかるんですか!?

小野原先生:はい、かかりますよ~。例えば、100万円投資して、それが150万円になったとしましょう。でもこの150万円、丸々は受け取れなくて、利益の50万円から税金が引かれた金額が受け取れることになります。

吉田さん:はぁ、そうなんですね…。

小野原先生:税金は全部で3種類あり、「所得税」「地方税」「復興特別所得税」です。この3つあわせると、20.315%の税金がかかるんです。

吉田さん:2割ですか!? 結構大きいですね。。

小野原先生:そうなんです。やったー!50万円利益だ!と思っても、実際10万円は税金として引かれ、150万円の資産の手取りは140万円になります。

吉田さん:わー…それは、ちょっといきなり残念な話です。

小野原先生:そうですよね(笑) でも、そんなときに使うのがNISAなんです!

吉田さん:どういうことですか??

小野原先生:「NISAの口座で買っている投資信託や株などの金融商品は、どんなに値上がりしても税金はゼロでいい」というのがNISAなんです。

吉田さん:おお! そうなんですね。NISAって、何かお得な商品だと思ってました。(笑)

小野原先生:そうそう、そこ勘違いしがちなんです。NISAは「口座」なんです。NISA口座で買った商品は、通常引かれるはずの税金約20%がゼロでいいですよっていう仕組みです。

吉田さん:なるほどなるほど~! そういうことだったんですね。ちなみに、ニーサニーサって普通に言ってますが、そもそもNISAって何の略なんですか?

小野原先生:確かに気になりますよね。(笑)
もともとイギリスに、Individual(個人)Savings(貯蓄)Account(口座)で「ISA (アイ・エス・エー)」という個人用の貯蓄口座があるんです。この口座、ちゃんと自分でお金ためていきます!という人のために、税金を優遇する口座なんですが、このニッポン版が、Nippon Individual Savings Account でNISAなんです!!

吉田さん:はは(笑)  Nipponなんですね。JAPANでJISAじゃないんですね(笑)

小野原先生:そうなんですよ~。できた時は、私も少し思いました(笑)

吉田さん:そもそもNISAっていつから始まったんですか?

小野原先生:2014年にスタートしたので、今で5年くらい経ちます。先ほどお話ししたように、約20%の税金がかからなくなる制度なので、個人投資家が増える後押しにもなりました。

吉田さん:実際、増えたのですか?

小野原先生:はい、かなり増えていますよ。この3年くらいで日本の個人投資家は200万人ほど増えたデータもあります。

吉田さん:200万人! それはすごいですね。自分もそんなにメリットがあるんだったら始めてみたいんですが、要するに、「NISA口座をまず開いて、その口座で何か商品を買う」っていう理解であってますよね?

小野原先生:そのとおりです。通常、株とか投資信託を買うにあたっては、証券会社で口座を開設する必要があって、証券会社の口座には「課税される口座」と「非課税のNISA口座」の2つがあるんです。

吉田さん:なるほどなるほど。

小野原先生:例えば、吉田さんが投資信託を買おうとしたときに、課税の口座で買うのか、非課税のNISA口座で買うのかを自分で決めて買うことができるんです。

吉田さん:そんなの絶対NISAにした方がいいですよね? 非課税なんだし!

小野原先生:そうですね。た・だ・し! 「税金はゼロです」というNISA口座には「投資額の上限」があるんです。

吉田さん:あーー。そういうことですか。まあ、そうですよね(笑)

小野原先生:この上限は、NISAがスタートしたときは、年間100万円までだったのですが、
これが引き上がり、今は毎年「120万円まで」の投資額であればNISA口座で買うことができます。

吉田さん:年間120万円、ですね。

小野原先生:はい。この投資額120万円がのちにうまく運用できて、200万円になろうが、300万円になろうが、税金はゼロでいいんですよ。

吉田さん:そっかー。少し分かってきました!

小野原先生:いいですね! あとNISAの特徴は、今お話をした「上限120万円」のほかにもうひとつあって、それが「非課税になる期間」が決まっているということなんです。

吉田さん:「期間」ですか。

小野原先生:はい。NISAの期間はずばり「5年間」。この5年以内に売って得た利益は非課税でいいんです。

吉田さん:ん?? ちょっと待ってくださいね。ということは、NISAの口座は5年経ったら解約しなきゃいけないってことですか?

小野原先生:いえいえ。6年目以降も同じように年間120万円の上限で利用できます。

吉田さん:ん?? ちょっと混乱してきた…。それって例えば、今年2019年にNISAの口座を使って、何か商品を買うとするじゃないですか? 5年経ったら2024年、で、5年が過ぎちゃった2025年になった場合、2019年に買ったものはどうなるのですか?

小野原先生:もし、2024年までの5年の間に売却をしてそこに利益が出ていたらその分は税金はかからないんですが、でも5年経過してしまった2025年になってもずっと売らずに持ち続けていて、2025年以降に売ったとしたら、それには利益があれば税金がかかります。

吉田さん:そうなんですか! じゃあ例えば、今年NISA口座を使って100万円投資しました、10年間忘れてました、そして10年後になんと150万円になってましたって場合、この利益50万円には、税金がかかっちゃうということなんですね。

小野原先生:うーん、正確にいうと、ちょっと違ってまして…

吉田さん:え、そうなんですか!?

小野原先生:2019年に買ったら、2024年までは非課税。では2025年以降はどうなるかっていうと、非課税期間が終了した年、これで言うと2025年の1月にその商品を買った場合の金額から、実際売るときの金額の差額で税金は計算されます。

吉田さん:??

小野原先生:例えば、100万円で買ったものが、5年後、60万円に下がってしまった。がっかりしちゃって、今、売るわけにはいかないと、ずーっと持っておいて、さらに5年が経った頃、
やっと100万円に戻ったので、よし売却しよう!とした場合、100万円で買ったものを100万円で売って、税金なんてかかるわけないと思うじゃないですか?

吉田さん:はい、もちろん。

小野原先生:でも実際は、非課税期間終了時には60万円になっていたので、この日に買ったとして税金は計算され、60万円から100万円になったこの差額分の40万円は、利益として税金がかかっちゃうんです。

吉田さん:えーーーー!? そういうことなんですか!

小野原先生:ですので、NISAは5年という期間の中でちゃんと利益を出だせるものであればすごくメリットがあるものですが、こういった落とし穴もあるので、選ぶ商品を間違うと、むしろ税金をとられることもあります。

吉田さん:そういうことかぁ。それは知れて良かったです。

小野原先生:メリットしかなかなかフォーカスされないけど、本当はそういう落とし穴もあるんです。

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