珍しい「朝日」の良記事(KAZUYA)
今回は珍しく朝日新聞を褒めたいと思います。
5月15日の朝日朝刊に【米国超え 中国の夢】との記事が掲載されました。これは中国の政治スローガン「中国の夢」を始め、習近平政権に大きな影響を与えたとされる中国国防大学教授の劉明福氏へのインタビューを記事にしたものです。
最近は米国がファーウェイなど中国企業に制裁を科していますが、中国がどういった戦略で動いているかを理解すると、何故米国がここまで強硬な手段に出るのかが理解できます。
劉氏は冒頭、「中国の夢」3つの戦略について言及します。それは興国、強軍、統一の夢で、要は建国100周年の2049年までにアメリカを超える国力、世界最強の一流の軍隊、台湾との統一を果たすというものです。
台湾については軍事力の行使も否定せず、実際に行動に出る時は米国の軍事介入を打ち負かすほどの能力を備えておくとも述べています。
記者が統一とはどの範囲のことを言うのか、かつての琉球王朝の領土も含まれるのかと尋ねると「今の中国政府が示している地図こそが国家主権と領土の明確な基準」と答えるのですが、中国は地図を書き換える国ですから全く信用できません。尖閣諸島だって領有権を主張し始めてからシレッと自国の地図に組み込むような国ですからね……。沖縄は元々中国のものだと言い出すことも容易に想像できます。
さらに米国から覇権を奪うことが中国共産党の最終目的かと問われると、覇権国が存在しない新たな秩序を作ると言いつつ「中国が新たに提唱する新たな秩序は、より文明的で人々に幸福をもたらすもの」とも……。
チベットやウイグルで人権侵害を行っている中国が文明的で人々に幸福をもたらすとは笑止千万。私達と一党独裁の人権弾圧国家とでは、まるで思考が異なります。
国際社会は結局経済力と軍事力です。だからこそ米国の影響力が大きいわけですし、中国が台頭したのも経済成長を背景に軍事力を伸ばしてきたからに他なりません。その中国が提唱する新しい秩序とは、中国にとって都合の良い国際社会を作り出すということでしょう。言論の自由もなく、報道も規制が入る人権弾圧国家が主導する秩序がまともなわけありません。
インタビューの終いには東アジアにおける米国の影響に言及し、日本に対しては「今こそ米国偏重から脱し、『アジア回帰』をすべき時ではないでしょうか」と呼びかけています。朝日新聞読者は「その通り! 中国と一緒にやっていこう!」と思うのかわかりませんが、僕は中国の危険過ぎる野望を報道したという点で評価します。
中国からすると、在日米軍が目の上のたんこぶです。日本は膨張する中国に飲み込まれないように、米国は当然として周辺国とも連携して中国を封じ込めるべきです。
今を逃すと将来がない。だから米国は立ち向かっています。日本にその覚悟ありますか?