堺雅人「半沢直樹」vs福山雅治「集団左遷!」 銀行ドラマで2人の演技はどこが違う?
「半沢直樹」(TBS)の続編の制作決定が話題だ。1年後の2020年4月から放送される。銀行が舞台のドラマだったのはご記憶のとおりで、最終話で42・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の驚異的視聴率を記録し、主演の堺雅人(45)は一躍超売れっ子となった。一方、TBSは現在も銀行の内幕を描いた「集団左遷!!」を放送中。だが、こちらは平均視聴率が合格ラインの10%を割ってしまい、主演の福山雅治(50)の演技に首を傾げる向きも少なくない。2つの銀行ドラマの明暗が分かれた理由は何か。福山と堺の演技の違いは?
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「『集団左遷!!』は福山さんの魅力を生かし切っていない」と評するのは、在京キー局出身で現在はフリーの演出家。福山は不実な銀行本部と対立するバカ正直な熱血支店長・片岡洋を熱演しているが、「空回りしているように見える」と残念がる。
福山の演技については放送評論家や芸能記者からも「目を大きく見開くなど顔芸に初挑戦しているが、違和感がある」「なぜか毎回走るが、その走り方がオーバーで興ざめする」という声が相次いで上がっている。コメディータッチの作品なので、福山はそんな演技を指示されているのだろうが、前出の演出家は「福山さんにコメディーは相応しくない」と指摘する。
この演出家の考えでは、福山に似合う役柄は外見と同じ二枚目。「ガリレオ」シリーズ(07年、13年、フジテレビ)での天才物理学者・湯川学のようにクールなインテリや、大河ドラマ「龍馬伝」(10年、NHK)での龍馬のように爽やかで行動力のある男だ。
しかし、「集団左遷!!」で演じている片岡は、三枚目かせいぜい二枚目半。「この設定にそもそも無理がある」(同・演出家)
美形の俳優がコミカルな演技をうまくこなすのは難しいのである。おうおうにして見る側に違和感を抱かせてしまう。滑る。
コミカルな演技で名高いのは森繁久彌さん(1913~2009)や渥美清さん(1928~1996)、フランキー堺さん(1929~1996)たちだが、失礼ながら美形とは言い難い人ばかりなのである。
「福山さん本人も脱二枚目を図りたいのかもしれないが、二枚目を貫くべきではないか。それは俳優として恥ずべきことではないのだから」(前出・演出家)
確かに高倉健さん(1931~2014)も、生涯、二枚目役しかやらなかった。徹底していた。忍耐強く義侠心に富んだ男ばかり演じた。
実は健さんは、領域の狭い俳優だったのだ。それでも誰もが名優と讃えて、2013年度の文化勲章も得た。
福山と似たタイプの俳優としてよく名前が挙げられるのは、やはり美形の田村正和(75)だが、こちらも演じるのは二枚目ばかり。「パパはニュースキャスター」(87年、TBS)で初めてコメディーに挑戦したものの、これはシチュエーション・コメディだった。田村が顔芸やオーバーアクションに挑んだわけではなかった。
そもそも福山の本業はシンガーソングライターだ。ライブのチケットは瞬く間に売りきれる。ただし、88年に映画「ほんの5g」で先に俳優としてデビューしており、そのキャリアは長いが、劇団や俳優養成所で演技の修業を積んだことはない。
そんなこともあって福山も、健さんや田村と同じく、二枚目に徹したほうが俳優としての名がより高まり、ファンも喜ぶのではないか……。
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