仮想通貨「マウントゴックス事件」で逮捕 カルプレス氏が語るゴーン容疑者との格差

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拘置所で日本語を勉強

「おはようございます。どうぞよろしくお願いします――」

 取材が行われたのは、都内の住宅街に建つマンションの一室だ。現在、カルプレス氏はここを拠点に、新たな事業に取り組んでいるという。

 本棚には、日本の漫画も置かれている。和製の漫画やアニメへの愛が来日の決め手となったとも伝えられるが、逮捕を経てもなお、日本への愛情は冷めなかったようだ。

 ある意味、日本との距離は近づいたふしさえあって、

「拘置所に入っている間に日本語を勉強し、以前より上手に喋れるようになりました。国語辞典を入手して、漢字などを学んだのです。法廷で飛び交う弁護士の日本語を理解したかったからです」

 今回、カルプレス氏が取材に応じたであろう理由は2つある。ひとつは、この5月30日に初となる著書『仮想通貨3.0』(講談社)が上梓されるというタイミング。そしてなにより、3月に業務上横領罪など一部に無罪判決が下されたこともあるのだろう。質問に答える様子がどことなく嬉しそうなのも、そのためだろうか(ただしデータ改竄の点は認められ、懲役2年6カ月執行猶予4年が下されている)。

「判決が“無罪”になったので、これで仕事にももっと精力的に取り組むことができます。ただ、裁判の過程で、私が証言していた“ハッカーの関与”が明らかにならなかったのは残念。マウント社から盗まれたビットコインの一部が、このハッカーが運営していた取引所に流れていた疑惑があるのに、です。ハッカーの名は、アレクサンダー・ヴィニック 。ロシア人です。米国捜査局が、ギリシャ国家警察と協力し、一昨年に彼を逮捕しました。今も現地の刑務所で身柄を拘束されています」

 カルプレス氏によれば、このハッカーの引き渡しをめぐり、現在、米国とロシア、そしてフランスも加わり、三つ巴の展開となっているそう(日本は参加せず)。「刑務所内では毒を盛られて暗殺されそうになったと聞きます」ともカルプレス氏は言うが……。

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