14億円横領のアニータ夫、今も青森への返済なし 「生活に余裕がない」の言い分

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ブランド品でいっぱい

 大きく息を吸い、苦渋の表情で玄代表は語る。

「信頼を裏切られたことでの精神的なショックが大きくて。僕はスタッフ全員の猛反対をはねのけて彼を信頼し、手を差し伸べようとしたつもりでした。NHKの取材が嫌なら受けなければいいのに、突然、一方的に退職するとLINEで告げ、一番大事な決算期に仕事を放棄する。しかも青森には1円も賠償せず、うちのお金を持って行ってしまった。人としてどうなんや、と憤りを覚えました。その後、僕は千田に電話をしていますが、常に留守電。LINEを送っても既読すらつきません」

 そして、あらためて千田氏の言動を振り返った。

「いま考えると、彼には謝罪と感謝がなかった。無断欠勤しても謝ったことはなく、今年1月ごろ、出勤しない千田が心配になって家まで様子を見に行き、応答がないので日本酒4合瓶をドアにかけ、メモを残して帰った。でも翌日、何食わぬ顔をして出勤し、謝罪もお礼もないのです。僕の勧めで書いた手記も、アニータとの交流話などが中心で、県住宅供給公社は天下りの上層部ががっぽり退職金をもらうのに、プロパーは出世できず、アニータの病院建設という慈善事業のために横領したなどと、言いわけばかりが並んでいた。懲役が終わり、償いも済んだと思っているのでしょうが、民事では横領金の賠償を命じられている。こちらが月1万円上乗せして出すとまで言っているのに、返さない意味がわかりません」

 そのうえ、さらに呆れざるをえない話が。

「うちのスタッフで彼の家に行った者が言うには、家のなかはブランド品でいっぱいだそうです。たしかにいつも、古いけど高級なスーツに革靴を履き、グッチの時計をし、ルイ・ヴィトンのバッグと財布を持っていました。“昔のものですから”と言っていましたが、おそらく親族がメンテナンスしながら保管し、出所後に渡したのでしょう。しかし、それを換金して少しでも返済に充てる、という考えはなかったのです」

 そして、玄代表は最後にこうつぶやいた。

「彼に感謝と謝罪の気持ちがあれば、更生できたかもしれません。司教に許されたジャン・バルジャンのように、千田も更生して幸せになってくれたらなあ、と思っていましたが、叶わなかったようです」

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