窪田正孝「ラジエーションハウス」は好調でも、フジ「月9」がいまだに抱える問題点

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年層別個人視聴率の真実

 世帯で11.2%だった15~16年の4本。FT(女性13~19歳)の平均個人視聴率は5.0%だった。ところがその後、2~3%台が続発し、世帯が復調したこの1年も3.5%に留まっている。

 かつてフジ“月9”はF1(女性20~34歳)で圧倒的な強さを誇っていた。この層で見ても、15~16年の4本は5.1%だったが、その後やはり2~3%台に低迷し、この1年はやや戻したが平均4.1%止まりとなっている。

 F2(女35~49歳)でも、15~16年の6.2%は、2~3%台を経て、この1年は5.4%までしか戻していない。世帯視聴率は15~16年の水準に戻したにも関わらず、若年層では十分戻っていないのが実態だ。

 では、世帯視聴率復調の主役は誰か。実は50歳以上の中高年である。

 F3-(女性50~64歳)では、8.1%が9.7%と3年前を1.6%上回った。F3+(女65歳以上)に至っては、3.6%が7.7%と2倍以上に伸びている。飛躍的に上昇した高齢層で、“月9”の世帯視聴率は元気を取り戻していたのである。

「絶対零度」は刑事モノ、「SUITS/スーツ」は弁護士モノ、「トレース」は刑事&医療モノ、そして「ラジエーションハウス」は医療モノだ。つまり“月9”のこの1年は、高視聴率ドラマ路線を選択し、世帯視聴率を確保していた。いわば「相棒」「科捜研の女」「ドクターX」などで高視聴率を稼ぐテレ朝路線に近づいていた。

ただしこの方式では、中高年に見てもらい世帯視聴率を稼げても、若年層は簡単には惹き付けられないのである。

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