貴乃花が創設した法人に「第二の相撲協会」の声、活動は「未定」

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“見切り出航”

 その船長もしくは水先案内人となる、松浦氏に聞くと、

「私自身は、フランス大使だった1990年代半ばに、貴乃花さんとのお付き合いがはじまりました。シラク大統領と一緒に相撲観戦したのがきっかけです。今年の4月、貴乃花さんと所属事務所の方を交えてランチをしたときに、ご本人から思いをうかがいました。それに賛同したわけです」

 かくして大船は海原に滑り出た。かに見えたが、

「なにをするのか、まだ具体的に固まっていないんです。子どもに相撲を教えるといっても、どこでどんなふうに教室を開くかも決まっていません。これから貴乃花さんや関係者の方々で詰めていくと思います」

 と、いささか心許ない。社団法人の理事からは、

「理事へのオファーは一応ありましたが……。発表のことは知りませんでした」

 こんな反応も。要は“見切り出航”の状態だったのだ。タニマチの一人は言う。

「19日の御縁会のあと、親方が社団法人のビジョンを語るとのことですが、具体的な内容は出ないのでは。そもそも、親方は事業に関する知識や経験がほとんどないんですから」

 なのに、相撲道場の運営や指導者育成、国際交流といった事業をこなせるのか。

「今月末、親方がイタリアで行う講演には民放がくっついて行くし、ふるさと納税サイトとCM契約も交わした。法人設立の一方で“タレント化”も進むのです。それで政界進出話は薄まるでしょうけれど、きっと批判が出ますよ」

 平成の大横綱は、令和になって大きく舵を切った。夢を乗せた「貴乃花丸」は順風満帆の大船か、それとも羅針盤のない泥船か。

週刊新潮 2019年5月23日号掲載

ワイド特集「目に青葉 眼下に断崖」より

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