85歳の現役歌手「ロミ・山田」が始めた特許ビジネス、ランドローダーって何?

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つけまフィッター

「ブロードウェイでの舞台をきっかけにつけまつげを使用するようになり、10年ほど前からメイクの手間を省くためにエクステンションを使っています。ところが、使っているうちに、自まつげが少なくなってきたのです。また加齢による瞼のたるみや視力の低下、指の衰えなどで、つけまつげを着けるのにも時間がかかってしまって、舞台の時間が迫っているのに、装着できないので喚いていたら、私のマネージャーが、新しいつけまつげ、“つけまフィッター”を開発してくれたのです。彼はアイデアマンで、以前、飲酒運転防止装置を考案して、いすゞ自動車と組んで実用化しようとしたことも。結局、リーマンショックの影響で実現できませんでしたが・・」

 このつけまフィッターは、一昨年8月に実用新案を登録した。

「つけまつげを装着するには片方の指で瞼を引き上げる必要がありますが、つけまフッターはつけまつげクリップの上部にプッシャーヘッドという突起があり、この突起が瞼を引き上げるので、片手で簡単につけまつげを装着することが可能になったのです」

 問題はこの商品を売るための会社を設立することだった。

「高齢者になると、銀行が相手にしてくれないのです。昨年は銀行から信用金庫まで、85歳の老骨に鞭打ってあちこち融資のお願いにまわりました。融資担当者が話に乗ってくれても、支店長から却下されることが多かったのですが、ひとつだけ、信用金庫の支店長がOKを出してくれました」

 結果、500万円の融資を受けた。さらに、東京都の女性、若者、シニアを対象にした創業サポート事業から1000万円の融資を受け、昨年9月にミュージカルの名前からとった「Pippn(ピピン)」を立ち上げた。翌10月からつけまフィッターの全国販売を開始した。

「昨年1月には、磁石で装着できるつけまつげも実用新案の登録をしていますが、今、特許申請の準備を進めているのが、階段も上がれるキャリーバックです」

 発案者でマネージャーの最上孝明氏が解説する。

「階段昇降装置付きのキャリーバック『ランドローダー』は、かれこれ20年前から考えていました。電動ではなく手動で階段を上り下りできる装置で、走行音も小さくなっています。すでにシステムは完成し、来月にも特許申請を予定しています」

「私の長男は難病を患って、5年間の闘病の後に2008年に亡くなりました。闘病中は車椅子生活でしたからずいぶん苦労したものです。息子はやたらと外出したがるので、銀座や渋谷センター街などあちこち連れて歩きましたが、段差には本当に困りました。いずれはキャリーバックだけでなく、車椅子にも階段昇降装置を付ける予定です」(ロミ・山田)

 特許ビジネスで多忙を極め、昨年は公演活動を休止していたが、この5月30日には、アマチュアの歌と舞踊の祭典である「花舟祭り」(成増アクトホール)に友情出演するという。

週刊新潮WEB取材班

週刊新潮 2019年5月26日掲載

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