「喫煙者」差別なら許されるのか 「長崎大学」採用問題

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3次喫煙

 厚労省にこの点を聞くと、

「喫煙の有無での採用を禁じる法律はありませんが、応募者の適性や能力で採用するよう周知しています」

 と、何とも無責任な対応。

 こうした流れを助長したのが国会で昨年成立した改正健康増進法である。受動喫煙防止のため、来年からオフィスや飲食店などでも原則禁煙となる。

「そもそも、受動喫煙による健康被害の人体実験は許されず、疫学的調査に頼ることになりますが、受動喫煙量と健康被害の程度を定量化して検証することは不可能に近く、科学的エビデンスとしては弱いものです」

 と、玉巻名誉教授は指摘するが、“禁煙ファシスト”たちの主張はエスカレートするばかりなのだ。

「最近では3次喫煙といって、壁・カーテンや衣服についたたばこ残留物によっても受動喫煙被害が生じるという主張まである。ごく微量の残留物質によってどれだけ健康リスクが高まるのか。このような主張は科学的検証に堪えない、信仰告白にすぎないのではないでしょうか」(同)

 ここで“喫煙者”の声に耳を傾けてみよう。毎日1箱は空けるという経済アナリストの森永卓郎氏は、

「講演会の打診をいただいたのに、嫌煙家の主催者によって反故にされたことも一度や二度ではありません」

 と、実体験を披露する。

「海外では屋内は禁煙、屋外は喫煙可、という形で住み分けがなされているのに、日本はそのどちらも全面禁煙というところが少なくありません。この国では世界でも類を見ない“いじめ”が行われているのです」

 冒頭に紹介した短編で太宰は少年たちを注意した後、フランスの作家、ポール・ヴァレリーの言葉を引用する。

「善ほど他人を傷(きずつ)けるものはない」

 禁煙原理主義という“善”がもたらす差別。それこそ「よし給え」――。

週刊新潮 2019年5月23日号掲載

ワイド特集「目に青葉 眼下に断崖」より

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