バンギャルはなぜ「生きづらさ」を抱えがちなのか? 元バンギャルなりの考察

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16歳でキャバ嬢になったバンギャル

 パンピという言葉を使うのはバンギャルだけかと思いきや、夜の世界に詳しい作家の鈴木涼美さんも、ホスト以外の男性のことを「パンピ」と呼んでいて驚いた。バンギャル界以外でもパンピという言葉を使う人がいたとは。

 バンドマンとホストは似ている部分があり(推しがいる点と女性側が男性を選ぶ点など)、バンギャルを上がった後(バンギャルを卒業することを「上がる」と呼ぶ)ホストに夢中になってしまう子も多い。私もそのうちの一人だが、「バンギャル活動に比べてホスト遊びは高すぎる!」と気づいてやめた。

 そんな狭い世界で、23歳頃まではパンピには目もくれず過ごしていた。あるとき、「このままだと普通の彼氏ができないかもしれない!」と危機感を抱き、合コンや婚活パーティーに行ったり、マッチングアプリを活用したりしたこともあったが、ほとんどのパンピに魅力や興味を感じられなかったし、共通の話題がなくて盛り上がらない。そして何より、女性を口説こうとする男性たちが気持ち悪くて仕方なかった。

 ライブハウスでは多くのバンギャルたちに出会った。その子達の多くは、もう連絡先が分からなかったり、一応SNS上では繋がっているものの会うことがなくなった子たちばかりだ。

 ライブハウスに行けば会える子たちで、ライブ以外で会うことはほとんどなかった。結局、今でも頻繁に会う子たちは、同じバンドに通っていた子たちではなく、対バン(1バンドだけでなく複数のバンドが出演するイベントで共演バンドのことを指す)がかぶることが多くて仲良くなったり、友達の友達として紹介された、別のバンドのファンの子たちばかりだ。結局、大きなくくりで「ヴィジュアル系好き」の子たちと仲良くすることで落ち着いている。

 バンギャル活動を通し、多くの生きづらい女子たちと出会ってきた。親にネグレクトされて食事を与えられず、今で言うパパ活をしていた中学生のユリちゃん(仮名)は、後々、様々な嘘をつき通していたことがわかった。まず、聞いていた本名が微妙に違った。ヤクザとの付き合いもあったので、偽名を使っていたようだ。そして、「勉強はできるから髪を染めても親に何も言われない」と言っていたにもかかわらず、バンドマンの誕生日祝いの寄せ書きの際、小学生レベルの漢字が書けなかった。また、一緒にご飯を食べた際、彼女は握り箸で当時の私は引いてしまった。でも今思うと、食事のマナーすら親に教えてもらえないかわいそうな子だったのだ。

 高校は定時制に進んだものの、学費を稼ぐために飲食店や清掃など、多くのバイトを掛け持ちして体調を崩し、すぐに学校を辞めてしまった。そして、当時流行っていたJKリフレで働き始めた。JKリフレが児童買春の温床になっていることが問題になった時期、危機感を覚えたのか辞めた。その翌日、彼女が働いていた店にガサ入れがあったとのことだった。そして、キャバクラのキャッチにあい、キャッチに偽造免許証を作ってもらって16歳にしてキャバ嬢になった。

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