ZOZO前澤社長「株の9割が銀行担保」「アンディ・ウォーホル投げ売り」という窮地
恐ろしい担保
錬金術が狂ったという点では、専門家らは揃って前澤氏が昨年6月に設定したストックオプションを挙げる。新株予約権を自身に付与し、株価が上がれば自分がぼろ儲けできるスキームだ。
株式ストラテジストの中西文行氏によれば、
「本来、ストックオプションは会社で働く従業員の士気を上げるために行使されるケースがほとんどなのに、ZOZOは株価が上がれば差額の儲けの9割が前澤社長の懐に入る形で、こんな条件は聞いたことがない。他企業で社長が得られる割合は3割程度、残りは部下に渡すのが相場ですから」
ただし、このストックオプションを行使するには条件があると中西氏は続ける。
「段階的にZOZOの株式の時価総額が、それぞれ2兆円、3兆円、5兆円に達することが条件になっています。現段階で時価総額は約7千億円なので、今後も行使するのは難しい」
株価が上がり続ければ、濡れ手で粟の如く金を手にできる。まさに「打ち出の小づち」。そんな前澤社長の目論見が頓挫しているのだ。
それを象徴する出来事が、4月の決算発表前に起こっていた。今年2月、前澤氏は3度もZOZO株に関わる大量保有報告書を提出したが、そこでは自らが保有するZOZO株のうち実に9割を、担保として金融機関に差し出していたことが判明したのである。
再び中西氏が言うには、
「一般論として、これまで担保にしていた株の値段が下がったので、更なる担保を求められたと考えるのが妥当です。けれど、金融業界で株は非常に恐ろしい担保です。特にZOZO株が下がり続けていけば、差額を埋めるため追加の担保が必要になっていく。何が何でも株価を上げないとダメな状況に追い込まれていきますから、前澤社長には辛い日々が続くでしょう」
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