「就活マナー本」のウソ ES送付の封筒は白、面接後には御礼メールは送るべき…
「過ぎたるは及ばざるが如し」ということわざがあるが、マナーでも同様のことがいえる。やりすぎなマナーはむしろ礼儀にかなっておらず、失礼にあたる場合もあるのだ。特に就職活動時に良しとされているマナーではその傾向が強い。そうした、実は礼儀にかなっていない就活マナーについて、『本当に必要とされる最強マナー』などの著書があるコラムニストの石原壮一郎氏に聞いた。
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就活マナーは数多くあるが、さっそく巷で噂されている事例を挙げて、それらが本当に礼儀にかなっているのか見ていこう。
まずは身だしなみ。就活ではしばしば“髪色は黒で、男性は短髪、女性はポニーテールなどが望ましい”といわれる。暑くてもジャケットを脱ぐことは失礼にあたる、というのも定説。真夏にリクルートスーツのジャケットを着ている就活生を見ることも多いが、これはどうなのだろう。
「『なぜこの髪型なのか』という納得させられる説明ができれば、茶髪だろうが落とされる理由にはならないと思います。ただし、人と一緒が嫌という理由では、あまり賢く見られない可能性が高いです。上着に関しては、着用したまま汗だくで面接を受けていたらそれこそ清潔感に欠け、『この人と一緒に仕事がしたい』とは思われないでしょうね。相手に不快感を与えないようにするのが、マナーの基本です」
さすがに、ノージャケットで面接に臨むことはおススメしないが、たとえば会場に着くまでは脱いでおくなど、臨機応変な対応が求められるというところだろうか(シワには注意)。
また、“エントリーシートの送付時の封筒は白がいい”“添え状はつける”などのマナーも就活の現場ではよく聞く話だ。
「人事担当者も、いちいち封筒の色を記録するような面倒なことはしませんから、『これをやらなかったから落とす』なんてことはないはずです。添え状もつけたほうが丁寧ですが、シンプルに。あまりにもくどかったり、余計なことばかり書き込んであると迷惑に思われることもあります。修正液は絶対にNGという意見もありますけど、それも程度の問題。まあ、修正だらけのエントリーシートや履歴書では、入社への気持ちの強さや仕事の能力を疑われても仕方ありませんけど」
さらにマナー本の面接指南のページでは、お辞儀は何度もするべきと書かれており、その角度も45°などと事細かに指定されている。これらは実際に礼儀といえるのだろうか。
「過剰なお辞儀は、『あ、この子は緊張しているな……』と面接官は思うでしょうが、特に礼儀正しいとは思わないでしょうね。お辞儀の角度も、その就活本を監修(または執筆)したマナー講師が何かしらの指南を書かなきゃいけないから書いているだけであって、あくまで目安に過ぎません。それより、ちゃんと気持ちを込めて、頭を下げた状態でしばらく動きを止めるほうが大切です。角度ばっかり気にしていたら、落ち着きのないお辞儀になってしまうでしょう」
石原氏によれば、マナー本の通りにやりすぎると、逆に「マニュアル人間」だと思われる可能性もあるという。
「マナーにがんじがらめになっている様子は、『この子は仕事でもテンパりやすいのかな……』『自分で考えて行動できないのかな……』という印象も与えかねませんし、何度も中途半端なお辞儀や挨拶をして無駄な時間を取らせるほうが失礼にあたります」
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