1億円超!? 「大谷翔平」と「大坂なおみ」のCMギャラが群を抜いて高い理由
芸能人が躊躇するCM、業界ごとのギャラ事情
どんなCMを芸能人は躊躇するのだろう。
「たとえば、金利が高く、取り立ても厳しくて、社会問題化していたころの消費者金融。今はメガバンクの系列になることなどによって、コンプライアンス面が整ったので、売れっ子も出るようになった」
CMに頼る部分が大きいファッション業界や通販業界などのギャラも概ね高い。半面、激しい価格競争を繰り広げている業界は、宣伝以外のところに予算を費やす必要があるため、どうしてもギャラは安くなってしまう。宅配便業界などである。
「今、ギャラの水準が高いのは、携帯電話会社とゲーム会社。どちらも他社との競争が激しい一方、資金力があるから」
目立つことを嫌う銀行業界はギャラも標準的なのだという。自動車業界は商品の単価が高いのでギャラもいいが、各社によってその金額はかなり違うそうだ。
「トップメーカーのトヨタのギャラが一番高額かというと、必ずしもそうではない。そもそもトヨタは芸能人に頼るようなCMを作らない。銀行の場合、その銀行の口座を作らされて、ギャラを入金した通帳を持ってこられたことがある(笑)」
では、スポンサーは何を基準にしてCMに起用する芸能人を決めているのか。2018年、渡辺直美を起用した企業は12社もあった(ニホンモニター調べ、以下同)が、渡辺に依頼が相次ぐ理由は?
「1990年代までは、リサーチ会社による『好感度調査』の上位組や、高視聴率ドラマの主演女優らに狙いが定められていて、それは今も続いているが、新たな判断材料になっているのはインスタグラムやツイッターのフォロワー数」
確かに、渡辺のインスタのフォロワー数は多く、約880万人にも達している。芸能人では断トツの1位。
「今のスポンサーはフォロワー数で人気度を計っている。また、フォロワーが商品を買ってくれることも期待している」
インスタのフォロワー数の2位はローラ(29)。やはりジムビーム(サントリー)など数多くのCMに登場している。2018年は12社のCMに出演した。3位はモデルで女優の水原希子(28)。女優としてはパイプレーヤーだが、こちらもパナソニックなどとCM契約を結んでいる。SNSでの人気とCMの数が、軌を一にする時代になりつつあるようだ。
CM降板を決めるものは
一方、同じ商品のCMに、長く起用される芸能人と、そうでない人がいる。芸能人側としてはずっと起用されていたいはずだが、なぜ消えていく人もいるのだろう。
たとえば、上戸彩(33)は2007年から現在まで12年連続でソフトバンクのCMに登場している。上戸は04年、05年、06年、09年、10年、15年に女性芸能人の中で最も多くCMに起用されたが、長い契約が目立つのも特徴。一例を挙げると、AOKIは03年から契約が続いている。
「CMが長く続くかどうかには、その商品や企業の売上高、業績が深く関係する。商品も企業も好調なら、大抵は契約が続く」
スポンサーは、いいときはCMを変えたくないが、悪いときは「CMに問題がある」と考えがちで、一新したがるのだという。
「CMのキャラクターが不動か、逆に猫の目のように変わるかで、その商品の売れ行きや企業の業績がうかがえる」
上戸を使い続けているソフトバンクの業績はどうかというと、やはり好調。2007年度に2兆7761億円だったグループの連結売上高が、18年度には9兆6022億円になった。おまけにCMの中身も評判高いのだから、上戸を降ろす理由などないだろう。
とはいえ、本人が不祥事を起こせば降板を余儀なくされる。その際、違約金の支払いは義務なのだろうか。支払うとすると、いくらなのだろう。3月にコカイン所持で逮捕されたピエール瀧(52)もLIXILのCMから消えたが……。
「契約書には『反社会的行為は犯さないこと』『商品や企業のイメージを損ねる行為はしないこと』『競合他社のCMには出演しないこと』といった禁止事項が必ず盛り込まれており、それに違反した際は違約金を支払うことになっている。金額はスポンサーに与えた損害の度合いによるが、受け取ったギャラの全額かそれ以上。ただし、降ろされた芸能人のすべてが違約金を支払っているわけではない」
どういうことか。
「たとえば、逮捕された芸能人の場合、仕事がなくなるので、ある程度の貯えがあろうが、高額な違約金を支払うのは難しい。スポンサー側とすれば、民事訴訟を起こし、強制執行の申し立てをすればいいのだけど、それでは自分たちのイメージダウンになる恐れがある。また、裁判に時間がかかると、やはり企業イメージに傷がつく。結局、芸能人側に金銭的余裕があり、その上で進んで違約金を支払おうとしない限り、スポンサー側はあきらめるしかない」
実際、CMの違約金に関するトラブルや裁判は聞いたためしがない。スポンサーが騒ぎになることを避けているからだろう。
昭和期までのスポンサーは、芸能人がCM契約中に離婚することを極端に嫌がり、離婚した場合は契約を打ち切ることすらあったが、今では泥仕合にならない限り、とがめられないという。時代の流れに合わせて、スポンサーの意識も変わった。2018年11月に歌手で俳優の及川光博(49)と離婚した女優の檀れい(47)もサントリー・金麦のCMに切れ目なく登場している。
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