「日本の皇室は『男尊女卑』で理解しがたい」と報じる米国メディア

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 雅子皇后はじめ、女性皇族のお姿が一切見られなかったのが、一連の「即位の礼」の初めの行事、「剣璽等承継の儀」である。

 皇位の証である三種の神器の一部と御璽、国璽を引き継ぐ儀式で、皇位継承権を持たない女性皇族が参加できないのは代々に倣ったもの。そのこと自体、日本ではさして話題にならなかったが、「碧眼の記者」にはよほど奇異に映ったらしい。

〈このことは皇室における女性の地位が弱められていること、そしてより広い意味で日本において女性が直面する難しさを示す事例である〉

 と記したのは、NYタイムズ紙である。続けて、

〈専門家は、夫の即位の儀式の重要な部分から新皇后を締め出すこと自体が、日本の男女平等を促進しようという取組と矛盾することだと指摘する〉

 古来続く皇室の世界における事象、その中でも例外事例を取り出して社会全体を論じるのは、いささか論理に飛躍があるように聞こえるが、同紙はまとめて、

〈明仁の退位それ自体が伝統との決別であったことを考慮すれば、時代が新たになることは皇室の慣習をリフレッシュする好機である、と評論家たちは述べる〉

 とコメンテーターの言葉を借り、暗に伝統的儀礼の変革を迫っているのだ。

 と思えば、ワシントン・ポスト紙も、

〈日本の皇室の18名のメンバーのうち13名が女性であるが、そのうち皇位継承権を有する者はいない〉

 と指摘。これは明治政府がプロイセンの王室制度を採用した影響だとするが、続けて、

〈皮肉なことにプロイセンのシステムは長続きしなかった〉

 と彼の国の王政が程なく滅んだことに言及。しかし日本は、

〈男系継承に関する規則は維持した〉

 と説く。

 アメリカ在住ジャーナリストによれば、

「タイムズ紙は、他にも即位直前、『籠の中の皇太子妃』なる記事を掲載。小室圭さんについても取り上げ、“眞子さまが日本の皇位を継承することはありえない。それでも国民は彼女の恋愛生活には口を挟みたかった”“今では皇室への求婚者を1人倒そうとしている”と論じています。一貫して、日本の皇室は“男尊女卑”で理解しがたいというスタンスで報じていますね」

 異文化理解はかくも難しい。

週刊新潮 2019年5月16日号掲載

特集「『令和元年』10の裏物語」より

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