昭和天皇墓所で「令和」自殺者第一号の遺書の中身

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 どんな出来事にも「令和初の」とこじつけるニュース番組も、この“事件”について枕詞はなしだった。5月1日早朝、昭和天皇墓所で起きた一件である。

 社会部デスクが言う。

「八王子にある武蔵陵墓地で、7時20分頃、シャツにジーンズ姿の男性が亡くなっているのが発見された。傍らにはボーガンがあり、左胸に矢が刺さっていました」

 現場は御陵内・大正天皇陵の隣。上皇・上皇后両陛下の墓所の工事現場であった。

「争った形跡もなく、遺書らしきものが3通残されていたことから、自殺と見られています。顔が土で真っ黒だったそうで、かなり苦しんだことが想像されます」

 所持品に身元がわかるものはなく、年齢も30~50代とはっきりしない。が、先帝が崩御されたワケではないけれど、タイミングと場所が場所だけに、御代替わりに関連しての“死”か!と見られたのも無理はない。

 30年前、平成の御代が来た際には、昭和天皇に殉じて少なくとも4名の自殺者が出ている。明治天皇崩御の際には、乃木希典陸軍大将が割腹自殺を遂げた。これに衝撃を受けた森鴎外と夏目漱石が『阿部一族』『こころ』をものしたのはあまりに知られた話だ。

 件の男も“時代”に殉じたのか。こうした自殺は連鎖するとも言われるが、

「当局に知られているクラスの右翼活動家ではない。また、遺書の中身にも生前退位に関係するような文言は見られなかったそうです。思想というより“死にたい”人が御代替わりに背中を押されてしまったのか……。現状は、ボーガンを持った男が楽々侵入できるような陵の警備体制の見直しが叫ばれていますね」(同)

 事件翌日には、ドローンらしきものが陵周辺を飛んでいるのも発見された。確かにこっちの方は大問題、だ。

週刊新潮 2019年5月16日号掲載

特集「『令和元年』10の裏物語」より

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