NGT「山口真帆」問題、事件直後の録音データ入手、犯人との生々しいやり取りを再現

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ぶれない言明

 山口は「つながって、関わっているメンバー全員言って、もう、誰、誰、言って、もう1回」と強い口調で要求する。甲は次のように答えた。

「Gと、Aと、俺、直接じゃないけど、Bと誰か(ファン)と、あとまあFと、今回の件には関係ないけど、Hとか、Iとか、Jとか(註:H、I、Jの3人は調査報告書に登場せず)あと……」

 Cが抜けているため、山口は「Cは?」と訊く。「さっきCも言ってたじゃん。関わっているの?」と畳み掛けるが、甲は「いや、Cは関わっていない」と答えを変えない。

 なぜ山口はCにこだわるのか、内部文書には興味深い文言が残されている。この日、山口とCが顔を会わせると、「凄い顔をされた」という。その表情の真意を、暴行事件があったことから「そういうことだったんだ」と理解したと説明している。詳細は分からないが、山口とCの間には、相当な軋轢があったことが推察される。

 内部文書から浮かび上がるのは、NGT48のメンバー間に存在する、非常に閉ざされた人間関係だ。メンバーに関する誹謗中傷なども含めて、様々な噂話が飛び交っていると推測される。ストレスの溜まる環境だったことは、以下の会話からも明らかだろう。山口が丙と思われる男にCとの“関係”を詰問する場面だ。

山口:(甲は丙に「今夜、山口に声を掛ける」と)言ったの? 丙は(声を掛ける予定を)知ってるでしょ? でも、この(声を掛ける)こと、だから丙がCに言ったんでしょ?

:俺とCは連絡、本当に取れないから。Cには言っていないし、あの、この(廊下で声を掛ける)こと、甲からは、あの、この(声を掛ける)話は聞いてたから、この話は知ってたけど……。

山口:うん。

:このことをCとかに言ったりは全くしてない。全くもう、伝える手段がないから、握手会とかでも俺、最近、まあ知らないと思うけど、握手会、全然行ってなかったからCの。

山口:つながってるんじゃないの? だって、つながってるんでしょ?

:いや、つながっているのは、本当にそれはない。

山口:はぁ!?

:いや、「はぁ!?」じゃなくて、本当にそれはない。

山口:私、聞いたんだけど。

:何が?

山口:つながってるって、家でも会ってるって。

:いや、会ってない。

山口:何で嘘つくの?

:ん?

山口:だって、さっきCに電話、連絡取ってたんでしょ?

:いや、違う。

山口:誰に連絡取ってたの? 来れるか、来れないかって?

:来れるか、来れないかっていうのは、だから、まあ、その……。

山口:誰?

:甲から呼ばれた時に、その……。

山口:そうじゃなくて、さっき丙が連絡取って、来れるか来れないか連絡していたメンバーは誰?

:いや、連絡、実際に取ってない。取ってるように、その……。(山口が)パニック、パニックになってて、その、男だけじゃ(山口と)話して、男とだけじゃ(山口に)怖がられて話してもらえないみたいな風に甲から聞いてたから、何かその、連絡取ってる……。

:本当のこと言う。それはGでしょ。それは普通にGで(電話で)呼んでたけど、さっき言った通り、何か(Gは)メンバーの家に集まっていたから(連絡が取れなかった)。

 次第に被害者と加害者の間にある溝が広がっていく。山口は運営スタッフや男たちに、必死で訴える。

山口:他にもたくさんつながっているメンバーがいるんです。その子が全部情報を言って、私の家も分かっていたし、私が終わる時間も分かっていたし、今日やることも分かっていたし、NGTの内部事情とかも全部、分かってるんです。だからこれでつながっているメンバーのこと言ってもらえないと、これからNGTとして活動するのも怖いし、いつまた同じことがなるか分からないじゃないですか。だから誰と誰がそんなことやられたか知りたいんです。正直に言ってよ。

 だが甲は「俺は本当、言えることは全部言ってる」と突き放した。負けじと山口も、A、B、Cの3人が黒幕だとの主張を繰り返す。もう溝は埋まらないと判断したのか、運営スタッフが互いの主張を確認した上で、警察などに連絡を行った。業を煮やした山口は「自分がA、B、Cに連絡を取る」と宣言する。

山口:多分(甲、乙、丙の)3人はメンバーを守りたいんだろうけど、守ったら守ったで、立場が悪くなるってこと覚えといて。あのメンバー誰? 私がじゃあ話すね。誰? 言って全員。AとBとCに電話すればいい? 私が?

:いや本当、俺は、そこは……。

山口:じゃ何でさっき、(A、B、Cの)名前言ったの? 適当に言ったわけじゃないでしょ、さっきの状況で?

:Bは知っているかもしれないけど、Cは間違いなく、今日(のことは)知らないし。

山口:じゃ、何でさっき「知ってるんでしょ?」って言った時、何も言わなかったの? 知ってるんでしょ、Cも?

:いや、本当に分かんない。全然知らないから、それ。俺は直接話してないし、誰かが言ってるとかは分かんないけど、知らないと思うし、このこと知ってんのは、オタクだったら俺と乙だけで、俺と乙以外言ってないし、俺は。

:Cと関わりがあるとしたら、まあ俺だけど。俺は、Cと関わりがあるのは俺だけど。

山口:うん。

:俺とC、最近、話もしてないし。

山口:何で? ケンカしたの?

:え?

山口:ケンカしたの?

:まあ、ケンカしたって言うか……。

山口:もういいよ、正直に、知ってるよ、私。本当に知ってるから、つながってるの。

:つながってない、それは、本当に。

山口:ははは、どう思う? つながっていないんだって。知ってるから、何で今さらCを守ろうとするの? 好きだから?

:全然、つながっていないから。

山口:つながっているって、もう聞いてるよ。

:誰から?

山口:甲から。

:甲、つながってないよ、俺は。

山口:つながってるでしょ、なんでそんな嘘つく必要あんの、じゃあ?

:いや、俺は知らない。俺はつながってない。これ以上、これは……。

山口:だって、つながってなかったら知らない情報、たくさん知ってたよ。

:どういうこと?

山口:いいよ、そんなに守りたいなら別に。

:つながってないから、つながってないって言ってるだけで……。

山口:そっか、はい。

:俺は普通に、知らん。

 その後も似たような質問と否定が繰り返されるうちに、警察が到着。しばらくすると録音が切られたのだろう、内部文書も唐突に終了する。

 前出のAKS関係者は「誤解を恐れずに言えば、今回あってはらない事件が起きたことは重く受取るべきですが、あまりに不幸で不毛な対立が続いてしまったのではないでしょうか」と疑問を投げ掛ける。

「録音データからは、山口さんがメンバーに“黒幕”がいるはずだと追求を重ねたことが分かります。しかし、冷静に分析すると、甲、乙、丙が否定した内容は一貫しており、実はぶれていません。彼らが山口さんに暴行を振るったのは紛れもない事実です。しかし、地検が不起訴を決めたことや、第三者委員会が明らかにした経緯と録音データに残された男3人の弁明は整合性があります。山口さんがAKSに決定的な不審を抱いたことは仕方ないのでしょうが、それとA、B、Cが“無実”である事実は、別に考える必要があるはずです」

 関係者が心を痛めるのは、A、B、Cを筆頭に、NGT48のメンバーに対して殺害予告などの嫌がらせが集中しており、本人だけでなく保護者なども憔悴していることだ。

「今回の事件で、山口を筆頭に、NGT48のメンバーは大きく傷つきました。そして山口は18日に卒業します。AKSは甲と乙に対して民事訴訟を提起したほか、内部の改革も進めていきます。その上で、一部のメンバーに対する個人攻撃はどうか止めてくださいとお願いしたいです。運営に責任はありますが、彼女たちに責任は全くありません。山口さんの卒業を契機に、異常な個人攻撃が沈静化することを願ってやみません」(同・AKS関係者)

週刊新潮WEB取材班

2019年5月17日掲載

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