業績好調の「日高屋」に立ちはだかる500店舗の壁、いよいよ迎える正念場

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客単価の上昇に成功?

 ラーメンチェーン「日高屋」の経営状態に対し、好調説と不調説の報道が同時期に出るという珍しい事態が起きている。

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 だが本題に入る前に、例えば大阪では「日高屋って何や?」と首を傾げる府民が少なくないことに触れておきたい。運営会社の「ハイデイ日高」は1999年にJASDAQに店頭登録、2006年には東証一部上場も果たしているにもかかわらず、地域ごとに知名度が違う。

 その理由は、日高屋の店舗網が“首都圏ローカルチェーン”という状態になっているからだ。公式サイトの「店舗検索」で「都道府県から探す」を見ると、東京・神奈川・埼玉・千葉・栃木・茨城の1都5県しか表示されない。

 ハイデイ日高が18年8月に発表した「第41期中間報告書」によると、同社が運営する店舗は420店。このうち都内は208店で49.5%を占める。

 次は埼玉県の103店、24.5%が続き、3位は神奈川県の63店、15.0%。この1都2県だけで全体の89.0%に達してしまう。

 千葉県は43店で10%しかなく、茨城県となると2店、栃木県に至っては1店と極端に少ない。首都圏ローカルというより、実質的には東京ローカルだろう。

 それでは、こうした特徴を持つ日高屋を「好調」とした報道からご覧いただこう。まずは日経新聞が4月12日(電子版)に報じた「外食大手6社、三重苦で4社が減益 19年2月期」だ。

 記事に登場するのはハイデイ日高、コメダホールディングス、ドトール・日レスホールディングス、吉野家ホールディングス、リンガーハット、壱番屋の6社。そして過半数の会社が不振に苦しむ様子を、次のように説明した。

《純利益の合計は7年ぶりの低水準で4社が減益だった。人件費増や材料高でコストが膨らんだうえ、顧客の財布のひももかたくなり思うように売上高を伸ばせていない》

 だが、ハイデイ日高は増収増益を確保した。日経の解説はこうだ。

《ハイデ日高(註:省略表現、原文ママ)は18年4月に値上げ。客数は2.4%落ちたものの、季節メニューや酒類など「ちょい高」製品の売れ行きが伸び、客単価は3.2%上昇した。単独税引き利益は2%増益だった》

 4月6日には埼玉新聞も「ハイデイ日高、16期連続で最高益更新 営業利益は微増」の記事を掲載した。重要なポイントを2点、引用させていただく。

《2019年2月期単独決算は、営業利益が前期比1.1%増の47億2900万円だった。16期連続で最高益を更新したものの微増に止まった。昨年値上げを実施したが人件費増などが負担となり、当初予想した49億円には届かなかった》

《既存店売上高は同0.7%増。アルコール類や季節メニューなどが好調に推移したことや、18年4月に実施した値上げの効果もあり、客単価は3.2%増加した。一方、客数は2.4%減。働き方改革などの影響で夕方以降の来店客が減少した》(※一部の数字表記を、デイリー新潮のスタイルに改めた)

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