令和改元に「極左過激派」は何をしていたか? 平成にはロケット弾発射

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「天皇制反対!」と、デモで声を上げるだけの人々と違って、「極左過激派」は、非合法活動も厭わない。

 振り返れば昭和から平成の御代に替わる頃、過激派は世間を騒がす存在だった。

〈昭和天皇の崩御とそれに伴う今上天皇の御即位があった平成元年から2年にかけて、過激派は「90年天皇決戦」を主張して、かつてない規模で「テロ、ゲリラ」事件を引き起こし、2年中には全国で143件も発生しました〉(警察庁「焦点」第269号)

 実際、各地の皇室関連施設へロケット弾が発射されたり、警察寮に爆発物が仕掛けられる事件が相次ぐ。

 警察官1名が殉職した新宿の警視庁独身寮爆破事件では、天皇制打倒を掲げる革労協が犯行声明を出し、犯人が捕まらないまま2005年に時効となった。

 翻って「令和」である。一連の皇室行事が行われた大型連休中、過激派が派手に犯行声明を出し、被害者が出るような大きな事件は幸いにも起こっていない。

 しかし、彼らが発行している機関紙の見出しには、

〈「祝賀」強制と対決し「天皇代替わり攻撃粉砕」〉

〈天皇即位粉砕、元号粉砕〉

〈10月「即位礼」粉砕〉

 などと物騒な文言が並び、未だ好戦的な姿勢は変わっていない様子が窺(うかが)えるのだ。

 もっとも「警察白書」などによると、学生運動華やかなりし頃、60年安保闘争では1カ月平均で約24万人がデモに参加。中核派などの極左勢力のピークは69年の約5万3500人だったが、99年には約2万7千人に半減、現在は2万人を割る。メンバーの高齢化が進み、学生活動家は減少傾向というが、彼らは裏で何をしているのか。

「天皇や安倍首相がめでたくても、貧困に喘(あえ)ぐ我々民衆にとって今回の祝賀ムードは違和感を覚えます」

 とは、中核派の活動家ながら、4月の統一地方選で当選して政治家となった杉並区の洞口(ほらぐち)朋子区議(30)だ。

「ロケットを飛ばすなどといったゲリラを行う予定は今のところ全くありませんが、私たちの活動の発展次第だと思っています。大衆の政治的な機運がもう少し高められれば、そうした活動もできるようになる。天皇制に象徴される資本主義体制を倒す、本当の意味で社会を変えるためには、民衆の法律を超えた行動、暴力が必要になると私は考えますし、そうあるべきだと思います」

 世間との乖離も甚しいが、これもまた“絶滅危惧種”と謂われる所以だろう。

週刊新潮 2019年5月16日号掲載

特集「『令和元年』10の裏物語」より

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