アパホテル社長、吼える「東京五輪後もうちは拡大路線!」

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アクセス第一主義

 転換期がある。

「2007年に耐震強度問題に巻き込まれたことで、銀行から借入金の返済を迫られました。このとき、事業用地を売却し、マンション建設の運転資金として借り入れていた分を前倒しで返済した結果、借金を減らすことができたのです」

 そして翌年のリーマンショックをきっかけに、

「都心の地価が大暴落し、資金繰りが苦しくなった企業が一気に土地を手放すようになりました。マンションの販売代金が入ってきたこともあり、皇居を中心とした都心3区の一等地をすべてキャッシュで買っていきました」

 それが、うまくいった。

「いまはその土地のうえに、プロジェクト融資という形で銀行からお金を借りてホテルを建てています。建てればすぐ収益が上がってきますから、手元に何十億かキャッシュがあれば、それを回してどんどん建てることができるのです」

 これが拡大路線のカラクリだ。そして、もう一つ。

「うちはアクセス第一主義。角地や整形地などには、こだわりません。敷地面積が広く確保でき、駅からアクセスがよければ購入します。もとは不動産売買からはじまった会社なので、変形地や矮小地でも、ご満足いただけるホテルを建てる自信とノウハウがあります」

 ノウハウと言えば、

「いまでは業界で当たり前になっている温水洗浄便座や無料Wi-Fi、自動チェックイン機もうちが先駆けだったんですよ。最近では、部屋の稼働率を上げるために日帰りプランの見直しや、自動でチェックアウト処理ができるシステムの導入など、さらに効率的な運営に取り組んでいます」

 前進あるのみ、で駆け抜けてきたアパ社長。90歳まで現役! と公言している。

週刊新潮 2019年5月2・9日号掲載

ワイド特集「御世をまたぐ難題」より

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