市原悦子さんを看取った姪が明かす「幻覚症状」と「樹木葬」

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「確かに伯母は女優だったけれど、家では普通の人でしたよ。お風呂上りにはタオル一枚で家の中を歩き回っていて――」と語るのは、1月12日に他界した女優・市原悦子(享年82)の義姪・久保久美さんである。

 あるときは昔話のナレーター、あるときは秘密を知った家政婦……昭和と平成を彩った名女優の姿を見なくなったのは、舞台演出家の夫を喪った2014年春頃からだった。

「仲のいい夫婦でしたから、“私の人生は終わったようなものなのよ”とこぼすほど落ち込んでいました」

 と久美さんが述懐する。

 そんな市原が当時、唯一精力的に取り組んでいたのが“樹木葬ツアー”だったという。

「ある日突然“久美ちゃん、樹木葬って知ってる?”って。“骨壺に入れて暗く冷たいコンクリートに納めるのはどうしてもしっくりこないの。樹木葬なら、土に還ってその辺を自由に漂っていられるでしょう”と言って、親交の深いミッキー吉野さんに車を運転してもらって都内や千葉などいくつかの場所に足を運びました」

 最終的には、千葉県袖ケ浦市にある真光寺の墓地に決まった。

 夫を埋葬し終えた市原は仕事に復帰し、遺作となった映画「しゃぼん玉」などに出演したほか、朗読会などで全国を行脚した。

 ところが16年11月、市原は自己免疫性脊髄炎と診断され、入退院を繰り返すようになる。

「伯母は、亡くなるまで認知機能に支障は全くありませんでした。ただ一時は“そこに誰かいる”などと幻覚症状を訴えていました。肝臓機能が弱まりアンモニアが脳に回ってしまう“肝性脳症”によるものだったようです」

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