令和を考案「中西名誉教授」の非凡な生き様 結婚3度で30歳年下妻

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「娘さんかと思った」

 中西氏と親交のある「薔薇族」初代編集長の伊藤文學氏が言う。

「2014年に中西さんの文化勲章受章を祝う会が開かれたんですが、彼の隣に着物姿の品のよい女性が座っていて、娘さんかと思ったら奥さんだと聞いてびっくり。まだ50代の女性で、先生との年は30歳ほど離れていましたから」

 中西夫妻を知る勉強会の参加者に訊くと、

「奥様は万葉仮名をスラスラと書けるような才媛です。2年前に先生の米寿を祝う宴の席では、彼女が出版した写真集も披露されました」

 頁を捲(めく)れば、野鳥の写真に夫人の文章が添えられて、こんな具合だ。

〈ウメノキニ スズメマイニチ キテトマル (ナカニシススム・三歳) 庭に小鳥が来る幸せの句を 今日もまた口ずさむ〉

 なんともユニークな夫婦の“競作”で、仲睦まじい様子が伝わってくるが、実は中西氏にとっては3度目の結婚というから驚く。

「1度目の奥様との間に複数のお子さんがいたのですが離婚して、2度目はご主人と子供を持つ女性と所帯を持たれたものの、その奥さんは病を患われ、8年前に死別してしまいます。先生は2年ほど喪に服した後、今の奥様と結婚したんです」(同)

 これらの話を当のご本人に尋ねてみたところ、

「どうせ面白おかしく書くんでしょう」

 と仏頂面で仰るばかり。

『万葉集』には、恋人同士が交わした相聞歌も収められているのだが、稀代の天才は、いったい女性たちにどんな歌を贈ったのだろう。

週刊新潮 2019年5月2・9日号掲載

ワイド特集「御世をまたぐ難題」より

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