平成の31年間で「ワイドショー」はどう変わったか 有田芳生と東国原英夫の違い

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「新潮45」「週刊新潮」で「見ずにすませるワイドショー」を連載していたコラムニストの林操氏が「平成」のワイドショーを振り返る。なんでも連載が終わった今は、自ら見ずにすませているのだとか、その心とは?

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 年度替わり、元号替わりで、世の中がドタバタしてるときに、統一地方選だ衆院補選だと選挙がまたうるさいわけですが、こういう政治の季節になるたびに思い出す番組があって、それは昔、日テレ系の平日午後にやってた「ザ・ワイド」。

「スーパーひとしくん」こと草野仁が司会で1993年から2007年まで14年半続いたワイドショーで、ここで長らく(12年半)メインのコメンテーターを務め、草野に次ぐ番組の顔になっていた有田芳生は今、立憲民主所属の参議院議員。縁あって彼のツイッターをフォローしてるゆえ、あちこちで選挙があるたび立民系候補の応援に飛び回ってる様子が飛び込んできて、それでいちいち「ザ・ワイド」が頭に浮かんでくるわけです。

 実はワタシ、「見ずにすませるワイドショー」なるコラムを、今は亡き「新潮45」にて2000年から、今なお健在の「週刊新潮」にて02年から09年まで続けさせてもらってまして、足掛け9年、朝も昼も午後も各局のワイドショーを見続けてました。これはなかなかにキツい仕事で、連載の途中、30日間の1日3食をマクドナルドだけで摂り続けると人間はさてどうなるかという恐怖のドキュメンタリー映画「スーパーサイズ・ミー」を観て、まったく他人事に思えず、「ワイドショーはファストフード」だと知り合いに吹聴しまくってたくらい。

 そういう情報ファストフードの山に囲まれ、渦に呑まれて脳が胃もたれする中で、「ザ・ワイド」で聞ける有田の的確なコメントは、干天の慈雨にして、マックのグリーンサラダにして、吉野家の生ビール。当時、「週刊新潮」からワイドショーのコメンテーターの採点を頼まれた折には、「ブロードキャスター」(TBS系)のジョージ・フィールズと平田オリザ、「情報プレゼンター とくダネ!」(フジ系)のピーコ、「ザ・ワイド」のデーブ・スペクターたちと並ぶ最高得点をつけた記憶もある。

 で、ツィッターで有田の東奔西走を横目に、現在ただいまのワイドショーを眺めててガックリ脱力する、というより、それをきっかけにチャンネル変えるのは、東国原英夫元知事こと元そのまんま東がコメンテーターをやってるのに出くわしたとき。だって、あまりにもデカすぎてさ、元コメンテーターで現政治家の有田と、元政治家で現コメンテーターの東国原の落差が。

 いや、彼の政治コメンテーターとしての能力にケチつけてるわけじゃないんです。勉強してるし、話はうまいし、政権批判も政権擁護も是々非々でできる。だけど、昼の「バイキング」(フジ系)や午後の「ゴゴスマ」(TBS系)で見かけると胃酸が上がってきちゃう感じなのは、あの無駄なギラギラ、無意味なギスギスゆえなのかなぁ。かつて自民党総裁の椅子まで求めたギラギラ、理念の追求より現実の受容を語りたがるギスギス。安心して話を聞いてられないんだよ、有田のときみたいには。

 髪は薄いまま、ジャケットはヨレたままで、長年、草野仁の隣に控えて、草野の投げた球を草野がちゃんと受け止められるように、でも球筋は膨らませて打ち返し、そこに柔らかなユーモアも添える。「雨ニモマケズ」の「サウイフモノ」みたいなコメンテーターだったからね、有田は。

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