平成の世を生んだドラマ3本といえば……ヒントは野際陽子、ミスチル、浅野温子
コラムニストの林操氏が独断と偏見で選んだ「平成ドラマ」ベスト10の第2弾。
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さて、続いての部門は「平成の世を生んだ3本」編。ちょっと大げさな看板ですが……。
●「ずっとあなたが好きだった」[1992年/TBS系]34.1%
賀来千香子バブルの発生と佐野史郎評価の定着、野際陽子の鬼嫁イメージ確定などなど、役者の面でも見るべきものの多い名作ですが、今回注目したいのは“冬彦さんブーム”。あのブームの背景には「マザコンの夫は気持ち悪い/その母=姑は悪/妻=嫁は落ち度なしの被害者」という構図があり、また「夫=男は強いようで弱い/妻=女は弱いようで強い」という構図もありで、このあたり今になって振り返ると、とっても平成……と言うより、とっても非・昭和じゃないですか。
このあたりが四半世紀後の「#MeToo」運動のニッポン上陸にまでつながる、なんて安易安直短絡的な分析はしません。むしろ「マザコン男なんか笑い飛ばしていい」「嫁だ姑だなんて関係はブチ壊そう」という女のフリーダム加減は、往時のおやじギャル(1990年の新語・流行語大賞銅賞)熱の延長にも感じられて、もはや懐かしいくらい。
それでも、悲劇のヒロインを救出するヒーロー役だった布施博や、続編の「誰にも言えない」(1993年)で同じ役回りだった羽場裕一が、ドラマの中で無条件にカッコよかったわけでもなければ、その後スターとなっているわけでもないことを思うと、「女を救う男」の地位・役割の低下も明らか。そういうフェミズムやジェンダーの視点から「ずっとあなたが好きだった」を見直すのも、平成の終わり&令和の始まりにふさわしい大連休の潰し方かと。
「平成のドラマを変えた」1本?
●「同窓会」[1993年/日テレ系]20.4%
ミスチル(Mr.Children)のシングルで初めてオリコンのトップ10に入った「CROSS ROAD」がこのドラマの主題歌だったことを口にすると、微妙な顔つきになるファンが少なからずいたなぁ。なにせ「同窓会」、プライム帯の民放連ドラとして、おそらくニッポンで最初にホモセクシュアルが大きなモチーフになった作品だったんです。
高校出てから15年、27歳になった同級生の男女やら、その後輩の弟で新宿二丁目をウロつく男子高校生やらが組んずほぐれつという筋立てにせよ、男同士が裸で絡む画がフツーに出てくる演出にせよ、バイセクシャルやゲイの高校生たちを演じるのがTOKIOだV6だのジャニーズ系という配役にせよ、当時はなかなかにショッキングかつタブー感濃いめ。性的少数者への理解が拡がった(ってことになってる)今なら、支持も批判も強烈だろうなぁ。当時の二丁目の店々のママやスタッフの意見も二つに割れてたし。
ドラマとしての出来は、特に演技や演出の面で飛び抜けてるわけじゃありません。が、たとえば去年の「弟の夫」(NHK)や「おっさんずラブ」(テレ朝系)、今年に入っての「きのう何食べた?」(テレ東系)、「俺のスカート、どこ行った?」(日テレ系)などなど、ゲイがフツーに出てくるドラマの良作・佳作メジロ押し状況を眺めていると、思い出されてならないのが「同窓会」。その意味では「平成の世を生んだ」1本であるだけでなく、「平成のドラマを変えた」1本でもあるかもしれず。
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