上野千鶴子の東大「性差別」祝辞を元東大総長らはどう聞いたのか

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 現在、東大入学式での祝辞が話題の的になっている。ジェンダーフリー論者の上野千鶴子・東大名誉教授(70)が新入生に向けて、大学での「性差別問題」を盛り込んだ祝辞を述べたのだ。その結果、メディアやネット上で、賛否両論が巻き起こる事態に発展した。

 新入生約3100人が出席した東大の入学式は、4月12日、日本武道館で行われた。その晴れの場で、「女性学」や「ジェンダー研究」の第一人者、上野名誉教授が述べた祝辞が反響を呼び、現在、侃々諤々と意見が交わされている。

 掻い摘んで、その祝辞の内容を紹介すると、冒頭、女性差別が明るみに出た東京医科大の不正入試問題や他の私大医学部でも男子学生の合格率が高いことに言及。そのうえで、東大においても女子入学者の比率が長期にわたって「2割の壁」を超えていないことなどを挙げ、大学入試には「性差別」が存在することを列挙した。

 それに続いて、上野名誉教授曰く、

〈そうやって東大に頑張って進学した男女学生を待っているのは、どんな環境でしょうか。他大学との合コンで東大の男子学生はもてます。東大の女子学生からはこんな話を聞きました。「キミ、どこの大学?」と訊かれたら、「東京、の、大学…」と答えるのだそうです。なぜかといえば「東大」といえば、退かれるから、だそうです〉

〈なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか。なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです〉

 つまり、東大ブランドは男子学生にとっては自慢になるものの、女子学生にとっては隠しておきたいものになってしまっているというのである。

 さらに、

〈これまであなたたちが過ごしてきた学校は、タテマエ平等の社会でした。偏差値競争に男女別はありません。ですが、大学に入る時点ですでに隠れた性差別が始まっています。社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。東京大学もまた、残念ながらその例のひとつです〉

 とりわけ女子学生に向けて、世間は性差別に満ちていることを示しているわけだ。

〈あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからです〉

〈女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です〉

 などと持論を展開し、最後は、

〈ようこそ、東京大学へ〉

 と締め括っている。

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