くら寿司でノロウイルス食中毒が発生 寿司カバー「鮮度くん」は役立たず?
神奈川県の小田原保健福祉事務所は4月14日、くら寿司の小田原東町店で食中毒が発生したと発表した。
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地元紙の神奈川新聞は16日に「小田原の回転ずしチェーン店で食中毒」との記事を掲載した。一部を引用させていただく。
《同事務所によると、7人は7日昼から夜にかけて、同店でコハダやマグロのにぎりずしや茶わん蒸しなどを食べた。3人の便からノロウイルスが検出されたことなどから、同事務所は同店が提供した食事を原因とする食中毒と断定し、14日から営業禁止処分とした》
こうした報道を目にすると、くら寿司のファンの中には「鮮度くん」と命名された寿司カバーが脳裏をよぎった方がいるかもしれない。
同社の公式サイトでも「お口にマスク。回転寿司に寿司カバー。」というキャッチコピーと共に、「自社開発の寿司カバー『鮮度くん』がウイルスやホコリなどから、がっちりお寿司を守ります!」と大々的に宣伝している。
この「鮮度くん」を説明する前に、まずはノロウイルスについて確認をしておこう。慶應義塾大学保健管理センターの公式サイトに「ノロウイルスの予防」という記事が掲載されている。ポイントを箇条書きの形で引用させていただく。
【1】ノロウイルスは水中の生物、特に牡蠣などの貝類に蓄積されている。よって、体内にノロウイルスを蓄積した魚介類を生で食べると感染する。
【2】ノロウイルスに感染した魚介類を扱ったキッチンでは、水や調理器具を媒介として別の食材がウイルスに汚染されるケースがある。魚介類以外の食材にも伝染するため、火が通っていなければ、口にした人は感染してしまう。
【3】ノロウイルス感染者の手指には、排便の際などにノロウイルスが付着する。適切な手洗いを行えば洗い流されるが、不十分だと手指に残る。感染者が触ったところはウイルスが付着し、そこを触った人はウイルスに感染する。食べ物とは無関係に、人から人への感染が成立する。
【4】ノロウイルス感染者が発症して嘔吐または下痢をすると、その吐瀉物が乾燥してもウイルスは生存している。空中に乾燥物が飛散し、口を介して人に感染するという空気感染が成立する。
こうした感染ルートを、くら寿司の「鮮度くん」は遮断できるというのだ。公式サイトには「『鮮度くん』誕生秘話」というマンガが掲載されている。
冒頭で「20年前、回転寿司では寿司カバーをつけて流すことはごく当たり前のことでした》と振り返り、なぜ寿司カバーが衰退したのか読者に問う。
くら寿司側は《カバーの手あか等の汚れがひどい》などを理由とし、「寿司カバーに代わるものの研究・開発」を続けてきたとした。
そして次のコマでは、くら寿司の店舗で食材検査を行うため、保健所の職員が来訪。「食中毒は食材だけが原因ではない。空気中の菌からの飛沫感染が大きく影響する」と説明したことをきっかけとして、くら寿司側は対策を急いだ。
研究、開発を進めていた社員を集めると、様々な意見が飛び交ったそうだ。ある社員が「これまでの研究開発の成果を出す時がきましたね!」と意欲を見せると、別の社員は「ああ、ノロウイルス・インフルエンザや空中に浮遊するホコリ・つばからお寿司を守るべきだ!」と賛意を示す。
こうして、くら寿司が全力を注いで開発したのが「鮮度くん」だという。公式サイトの特設コーナーに記載されている“セールスポイント”を引用させていただく。
《空気中には様々なウイルスが浮遊しています。インフルエンザ・風邪などのウイルスやホコリ・つば等からお寿司を守りたい。そのために開発したのが不思議な寿司カバー「鮮度くん」です》
《お皿の手前を上げるだけで、簡単にお皿がとれる。そこに価値あり。そこに技あり。かつての寿司カバーでは、従業員とお客様の双方が「カバーをかぶせる・取る」際に、カバーに触れる必要があり、手あかのよごれ・様々な菌の付着や密封状態が続くことで起こるカバーを開けた時の臭いの問題がありました。だからこそ強く伝えたい。今までの寿司カバーでは、意味がないということ》
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