金正恩が文在寅を“使い走り以下”の存在と認定 韓国「ペテン外交」の大失敗

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文/鈴置高史

「米朝の間を取り持っている」と自ら誇ってきた文在寅(ムン・ジェイン)政権。その化けの皮がすっかり剥がれた。北朝鮮から「仲介役」どころか「使い走り」以下の存在と認定されたからだ。

右往左往で「制裁緩和」不発

 4月12日、金正恩委員長は最高人民会議で施政方針を演説した。北朝鮮の対外宣伝サイト「我が民族同士」が報じた「金正恩党委員長が最高人民会議第14期第1回会議で施政演説を行う」(4月13日、日本語版)によると、金正恩氏は文在寅大統領を冷たく突き放した。以下だ。

《南朝鮮当局は、すう勢を見てためらったり、騒がしい行脚を催促しておせっかいな「仲裁者」「促進者」の振る舞いをするのではなく、民族の一員として気を確かに持って自分が言うべきことは堂々と言いながら、民族の利益を擁護する当事者にならなければならない。》

「すう勢を見てためらったり」のくだりは、朝鮮語版の原文を直訳すれば「すう勢を見ながら右往左往し」である。「おせっかい」に関しては「でしゃばり」と、より強く訳したほうが正確と言う韓国人もいる。

 4月11日の米韓首脳会談を前に、文在寅政権は北朝鮮に対する経済制裁の緩和を求める姿勢を打ち出していた。ところがいざ本番の会談で、文在寅大統領はトランプ大統領に抑え込まれ、制裁緩和を言い出せなかった(デイリー新潮「米韓首脳会談で赤っ恥をかかされた韓国、文在寅の要求をトランプはことごとく拒否」[4月12日]参照)。

 文在寅大統領を「使い走り」にして制裁緩和を狙ってきた金正恩(キム・ジョンウン)委員長は、さぞ失望したことだろう。そこで「民族の一員として言うべきことは堂々と言え」と叱り飛ばしたのだ。

「騒がしい行脚を催促しておせっかいな『仲裁者』『促進者』の振る舞い」とは、米朝の間の仲介役を自認する文在寅政権が、今回の米韓首脳会談を受けて南北首脳会談の開催に動いていることを指す。

 北朝鮮にすれば、「使い走り」にも失敗した韓国が、いまだに「仲介役」を自認して南北首脳会談を望むなど片腹痛い。

 そこで「民族の利益を擁護する当事者にならなければならない」――身の程知らずの「仲介役」ごっこはやめ、北朝鮮側に立て、と言い渡したのだ。

「2分間大統領」で赤っ恥

 自らに責任があるとはいえ、文在寅大統領は踏んだり蹴ったりだ。4月11日の米韓首脳会談では赤っ恥をかいた。

 首脳同士が同席者を交えず会ったのは2分間だけ。それも両首脳の夫人が同席した。予定されていた会談時間のほとんどを、トランプ大統領が記者団との質疑応答に使ってしまったからだ。

 結局、今回の首脳会談は、トランプ大統領が文在寅大統領に一方的に説教する光景を世界に見せつけるショーとなった。韓国語のネット空間では「2分間大統領」との揶揄が飛び交った。

 帰国した文在寅氏を待っていたのは非難の嵐だった。4月12日、野党第1党の自由韓国党の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)院内代表は「浮雲のような首脳会談だった。(米国に)なぜ行ったのか分からない。この政権は恥を知らない」と痛烈に批判した。

 東亜日報は社説「説得の対象はトランプではなく金正恩であることを再び思い出させた韓米会談」(4月13日、韓国語版)で「文大統領は今や、北朝鮮と米国の間の『仲裁者』ではなく、トランプ大統領の意思を金正恩に伝えるメッセンジャーの役割に忠実であらねばならぬ境遇に陥った」と嘆いた。

 赤っ恥をかいただけではない。同盟国の首脳を呼びつけてこれほどに貶めるのは、米国が韓国に信をおかず「北朝鮮の言いなりになるなら、同盟を打ち切ってもいいんだぞ」と言い渡したに等しい。

 朝鮮日報が社説「この韓米首脳会談は何だったのか」(4月13日、韓国語版)で「(文在寅政権が米韓の間の)考え方の違いを認めず、適当なショーばかり続けているようでは、最終的には破局が訪れる」と書いたのも、危機感の表れだ。

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