妊娠を告げたら夫が豹変! 幸せな結婚生活が一転「世にも奇妙な物語」に

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これまで甘やかしすぎた。もう甘やかさない

 私はこの期に及んでもまだ、夫が「無視してごめん」と謝り、無視した理由を話してくれるものだと思っていたので、びっくりした。

 それまで、夫とは分かり合えていると思っていたし、夫のことを優しい人だと思っていた。お互い、相手が怪我をすれば心配し、病気をすれば看病した。家にいる時は仲良く隣に寄り添い、相手が話をすればにこやかに相槌を打つ。掃除や洗濯を私がすれば、彼は料理を作ってくれ、買い物は一緒にした。他人に対しては怒りっぽいところもあったが、私にはそれが一切向けられることがなく、単純にそれを「相性がいいからだ」と信じていた。彼が何をしたとしても、彼がその選択に納得していて、選んだ理由を説明してくれるなら受け入れることができると思って結婚した。

 その時の私には、何の知識もなかった。人は皆だいたい同じように世界を見て、同じようなプロセスで物事を考えていると本気で思っていた。

 今思えば、本当に浅はかだったが、「無視することしかできない」「イライラする理由が説明できない」「なぜと聞かれても答えられない」人のことを想像したこともなかったのだ。

 自分の気持ちを自覚し、表情や仕草、言葉全てを使って相手に伝えるという私にとっては普通のコミュニケーションが、当たり前ではないことを知らなかった。「話せばわかる」と信じて疑わなかった。

 怒られてびっくりして、涙が出た。

「人前でわざわざーー」と言われたので、涙をこらえ、無言で席を立ち、家に帰った。

 後から帰ってきた夫に、無視された混乱と、妊娠を喜んでくれないことに対する悲しみと、今後の生活に対して話し合いが必要であることを泣きながら訴えた。

 無視された。

 その数日後、さらに悪化したつわりでぐったりしている私に向かって彼が言った。

「これまで甘やかしすぎた。もう甘やかさない」

 そして、彼は変わってしまった。

 その後、彼は人が変わったように度々怒りをあらわにするようになり、それと同時に意地悪な言動が目立つようになった。

 ご飯が口に合わなければ、顔をしかめて無言でうつむき、その後何時間も口をきいてくれない。つわりがひどくて家事が手につかなくなると「グータラだなあ」と言ってくる。

「妊娠中はつわりがあって具合が悪くなる人も多いんだよ、そういう時は無理せず休んだ方がいいんだよ」と説明しても、「俺の知り合いは生まれる直前まで妊娠に気が付かず救急搬送されたんだ。だからつわりなんて気のせい」と取り合ってくれない。「なんでそんなひどいこと言うの?」と言うと「自分が怠けているだけなのに、怒るなんて生意気だ」と余計にひどいことを言われ、涙が出るようなことが続いた。

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