妊娠を告げたら夫が豹変! 幸せな結婚生活が一転「世にも奇妙な物語」に
「カサンドラ症候群」(以下、カサンドラ)とは、発達障害の一種「アスペルガー症候群」(以下、アスペルガー)の夫や妻、あるいはパートナーとのコミュニケーションが上手くいかないことによって発生する心身の不調です。特に夫婦関係で多く起こると言われていますが、最近ではアスペルガーの家族や職場・友人関係などを持つ人に幅広く起こり得ることが知られています。本連載「私ってカサンドラ⁉」では、カサンドラに陥ったアラフォー女性ライターが、自らの体験や当事者や医療関係者等への取材を通して、知られざるカサンドラの実態と病理を解き明かします。
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妊娠を告げたら夫に無視された
結婚して数ヶ月。
夫に「妊娠した」と告げたら、3日間無視された。
「妊娠」以外の話題には答えてくれ、向こうから話かけてくることもある。
でも「妊娠」の話題は、何度切り出してもまるで聞こえていないかのような態度で流され、一切のリアクションを返してくれない。
最初は「声が小さかったのかな?」と思った。そこで声のボリュームを上げてみるも返事がなく、時間をおきスムーズに行われている会話の途中に挟むかたちで投げかけてみるがやはり反応がない。
そこでなぜ「無視」されるのか考えた。
「私が何か怒らせるようなことをしたのだろうか?」ということである。けれど他の話題でなら向こうから話しかけてくる。そこで直接「なんで妊娠の話になると無視するの、私何かした?」と聞いてみたが、無視である。
次に考えたのは「子供が欲しくなかったから困っているのかな」という可能性だ。いや、子供好きをアピールしていたのも、子供を欲しがっていたのも夫じゃないか。
これまでの二人の関係を思い出しても無視される理由が思い当たらなかったし、また今まで「妊娠を告げたら夫に無視された」なんていう人の話を聞いたこともない。
妊娠は私一人のことではない。夫婦二人の問題のはずなのに、返事がないのはおかしい! そう思っても返事をしない人に無理に返事をさせる方法などない。
「なんで? なんで何も言ってくれないの?」
それまで順調だった結婚生活が、ある日突然「世にも奇妙な物語」にでもなったようだと思った。
3日目。
妊娠に気付いたのは微熱と吐き気の症状が出ていたからで、しかも私は転職活動をしようと職場に退職願を出しており、さらには結婚式を控えて準備に追われていた。つまりはじめてのつわりの中、いつもの通りに制作会社勤めの激務をこなし、さらに夫の無視をどうにかして、夫婦で「妊娠」について話し合う必要に駆られていた。
物言わぬ人に、無理に何かを言わせるよう迫ることはできないと理性ではわかっていても、妊娠によるホルモンバランスの変化と、「妊娠を告げたら夫に無視された」というわけのわからない状況へのストレスとが重なり、3日目にして早くも私は限界を迎えていた。
そこで、場所を変えて話してみることを思いつく。「ファミレスでご飯を食べよう、話がある」と言い、お互いの仕事帰りに家の最寄のファミレスで待ち合わせをしたのだ。
そこで単刀直入に「妊娠したと何度も話しているのに、どうして無視をするのか、もしかして妊娠を望んでいないのか」と改めて聞いた。すると彼はどうしたか。
激怒した。怒ったのだ。
「人前でわざわざそんな話をして恥をかかせやがって」と怒り狂った。結婚して初めて彼が私にぶつけた怒りの感情だった。
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