有休を取り家で仕事、ヤミ出勤にヤミ残業… 「働き方改革」という時短ハラスメント

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有休を取って家で仕事

 働き方改革を結果的に後押しした企業や団体の実情はどうか。2013年に女性記者が過労死したNHKだが、

「以来、本当に厳しくなりました。休めるようになった一方で、仕事は手を抜くほか仕方ありません。大手新聞や他局との競争は、あきらめざるをえなくなりました。小さいニュースは無理して追わなくても構わないというのです。また、私たちの仕事は細かく担当分けされていますが、別の担当に重要なレクや会見に出てもらうことも当たり前になった。担当者が責任をもってニュースを報じることができなくなったのです」

 と、さる記者。ニュースの質の低下にもつながりかねないが、記者の数が多いNHKはまだましで、

「僕らも残業について厳しくなったので、ヤミ残業でしのぐしかない。殺人事件などをあつかう警視庁の捜査1課担当など、忙しくて朝から晩までハイヤーを使い続けるのですが、昼間に長く寝て休憩をはさんだことにするのです」

 と、在京の民放記者は嘆くのだ。

 15年、高橋まつりさんの過労自殺で残業規制の流れを作った電通は、アラサーの営業職に聞くと、

「まつりさんの事件以降、残業に関してめちゃくちゃ厳しくなりました。それ以前は不夜城で、何時に行っても人がいて、クライアントと飲みに行ってから仕事をしに会社に戻る人も多かった。それがいまは22時には電気が落ち、翌朝5時まで個別に電気をつけることができません。メールを送ることさえ禁止です。ですから、仕事が終わらなければ、続きの作業はこっそり家で行います。“有休を取れ”といわれるので、仕方なく休んで家で仕事をしたこともあります」

(2)へつづく

週刊新潮 2019年4月11日号掲載

特集「数字だけが独り歩きする残業減に意味はあるか!? 『働き方改革』が国を滅ぼす」より

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