「スクールカースト底辺」を大人になっても引きずり続けた31歳女性の復讐劇

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自虐ツイートをしなくなった理由

 だから、「こんなダメな私にちょっと容姿の良い男性が好意を抱いてくれている!」と心が躍ってモラハラ男R氏に夢中になった。自己肯定感が低く、相手の顔色をうかがって自己主張の少なかった私は、モラハラの格好のターゲットだったのだ。
 
 しかし、一応R氏を擁護しておくと、一度だけ「僕と一緒にいて楽しい? なんだかマウンティングばかりしたくなって自己嫌悪に陥るからこの関係をやめにしない?」と言われたことがある。そのときは、どんなに自分を傷つける相手であっても依存対象を失うのが怖くて「そんなことないよ、一緒にいたい」と繋ぎ止めた。そして、R氏は「都合の良い女」を失うことなく、モラハラも続行された。ただ、モラハラを行っている彼自身、一抹の罪悪感を抱いていたことは意外であった。

 話は変わるが、以前の私はよく、Twitterで自虐ネタをツイートしていた。それに「いいね」がたくさんつくこともあったが、R氏は決して「いいね」をせず、そのツイートに対し「痛いことやってるなぁと思っている」と言っていた。私はおもしろいなら別にいいじゃんと思って気にせず自虐ツイートを続けていた。

 私はお笑いに特別詳しいわけではないが、昔から女芸人には何をしてもいい、むしろいじられるのはおいしい、いじられて笑いを取るのが女芸人ならではの魅力だと刷り込みを受けてきたと感じている。しかし、「多様性」や「ダイバーシティ」などの社会問題とともに、それを変えようとする動きをここ数年感じる。

 太っていたり容姿が良くない女芸人たちがこぞってそれを自らネタにし、男性タレントたちがいじる。これはエンターテインメントであり、信頼の名のもとに成り立っており、現実に持ち込むと完全なるいじめだ。芸人の渡辺直美さんは、でっぷりとした贅肉を揺らして激しいダンスを踊ることをネタにしていたが、アメリカに留学して本格的にダンスのレッスンを受け、太っている姿だけではない、正真正銘のお笑いの芸を見事に取り入れた一例とも言えよう。

 また、彼女は大きいサイズの女子でもオシャレを楽しめるよう、「ジャンルにとらわれない様々なスタイルを提案する」をコンセプトとした「PUNYUS(プニュズ)」というブランドもプロデュースしている。このブランドは大きいサイズも取り扱っているので、「体格の良い女子向け」と思い込み、てっきり大きいサイズしかないのかと思っていたが、店舗を覗いてみると、私でも着られるSサイズもある。

 自己肯定感が低くたって、自分に自信がなくたって、誰でもオシャレを楽しめる権利があることが伝わってくるブランドだ。シンプルなデザインのネックレスを探していたとき、どこを探しても好みのものが見つからず、ふらっと立ち寄ったPUNYUSで追い求めていたデザインのものを見つけたこともある。

 2016年に東大生5人が起こした強制わいせつ事件をモチーフにした姫野カオルコさんの小説『彼女は頭が悪いから』の主人公・美咲は、最終的に東大生たちからわいせつ被害を受ける。これは美咲が「いじられてもいい女子」「自虐キャラ」だったからだと言える。しかし、「いじられていい女子枠」の女子は内面傷ついている。そして、傷ついていることに気づいていない女子本人もいるだろう。

 今、私はスクールカースト底辺だった事実だけを受け止め、コンプレックスはほぼ消えた。これは、R氏からモラハラを受け、精神が崩壊し、そこから再生した結果なので、きっかけを作ってくれたR氏にある意味感謝すべきなのかもしれない。

 そして、最近は自虐ツイートをなるべくしないようにしている。自虐をしている女子は「いじられてもいい女子」と周りにアピールして、モラハラ男を引き寄せる因子となるからだ。失敗談を面白おかしくツイートしたり飲み会で話したりするのはかまわないが、それが、女性蔑視のいじりに繋がらないよう注意が必要だ(いじられキャラでやっていきたい人はかまわないが)。

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