東京では2人に1人が花粉症、大気汚染は改善されても今後も患者は増加する“皮肉”

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植え替えが進まず日本人の2/3が花粉症に?

 花粉飛散の原因がアスファルトにあるとすれば、花粉を吸着するアスファルトはつくれないものだろうか…。

「できなくはないのですが、現実的にはなかなか難しい。確かに、小さな穴の開いた多孔質の素材でアスファルトをつくれば花粉を吸着するかもしれません。しかし、耐久性に問題が生じる危険性もあるし、すべてのアスファルトを舗装し直すのは大変です。そこで有効だと考えられるのが、花粉を吸着する壁材です」

 実際、すでに壁材の新技術は開発されているという。

「例えば、群馬県のヤマダホームズという会社では、壁に木炭塗料を塗布して通電させる『ウェルネスエアー』というシステムを商品化していますが、これによって花粉の低減効果が確認できました。また、福岡県のカイケンコーポレーションという会社が開発した、赤貝の殻などからつくられた『幻の漆喰』という壁材も花粉を吸着する効果があります」

 花粉症の根本的な原因とされるスギの木を、花粉の少ない品種に植え替える事業も進められている。東京都では年間約60ヘクタールを目標に植え替えを行っているが、対象となる範囲は約3万ヘクタールもある。災害防止の観点から一気に植え替えることはできず、今のペースでは、すべて植え替えるまでに数百年もかかってしまう計算だ。

 そうなると、今後も日本、とりわけ東京においては、花粉症患者が増え続けることは論を俟たない。

「北米はブタクサ、ヨーロッパではイネ科の花粉症が、これまでも問題になってきました。ただし、海外で花粉症を発症する人はせいぜい人口の10%程度で、東京の花粉症患者の数は群を抜いています。今後、ますます東京で花粉症になる人は増えるでしょう。人口の3分の2が花粉症になることも考えられます」

 花粉症はもはや国民病という次元を超えて凶悪化しつつある。多くの分野の知見を結集して対処にあたる必要がありそうだ。

取材・文/星野陽平(清談社)

週刊新潮WEB取材班

2019年4月11日掲載

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