東京では2人に1人が花粉症、大気汚染は改善されても今後も患者は増加する“皮肉”
やわになった体とアスファルト化が主な原因
王教授の説明では、花粉と大気汚染物質の接触が花粉の大量曝露の原因とされている。しかし、年々、大気汚染自体は改善されているはず……。
「確かに日本では、PM2.5のような大気汚染物質は減少しており、10年前の10分の1程度になっています。では、どうして花粉症の患者が増えているかというと、昔は空気が汚かったために人間の体が花粉を異物として認識していませんでした。しかし、最近は逆に空気がきれいになったため、花粉アレルゲン物質がより異物として認識されるようになったからではないかと考えられます」
空気清浄機を常時使用し、清潔な環境に慣れてしまうと、体の免疫力が低下してしまい、感染症などにかかりやすくなるという説もある。どうやら、それと似たような現象が花粉症にも起こっているようなのである。
また、王教授によれば、花粉症の患者数は東京をはじめ関東以外に、大阪や名古屋、福岡などの都市部でも同様に増加しているという。その原因の1つには、アスファルトの問題もあるようだ。
「地方では花粉が飛散しても地面の土が花粉を吸収してくれますが、都市部の地面のほとんどはアスファルトで覆われています。アスファルトでは花粉が落ちても吸収せず、再び舞い上がってしまう再飛散の現象が起こり、花粉アレルゲン微粒子が空気中に滞留しやすくなってしまうのです」
関東地方を中心に散布するスギの花粉についていえば、インフラ整備が進んだ都市ほど被害が生じるため、もれなく人口密集地帯である東京に降り注ぐというわけだ。
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