「土屋太鳳」も驚きの「フジ」記念ドラマでミス 字幕が遅れ続け…

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低迷続きを象徴

 ここでいったん、原作に触れておく。『砂の器』は、ある殺人事件をめぐって刑事が東奔西走する姿を描く。ハンセン氏病を患った父親と、その息子である天才作曲家の物語でもある。1974年に丹波哲郎と加藤剛の主演で映画化され、ドラマ化は今回が7作目だ。

「名作を、安直に借りてきた感じが否めないのです」

 と、メディア文化論を専門とする上智大学の碓井広義教授。

「今作は、ハンセン氏病患者への差別を犯罪加害者家族へのそれに置き換えています。が、映像では差別がまったく描けておらず、作曲家が背負った苦悩もまるで伝わってきませんでした。字幕の件は不手際以外の何物でもない。そんな未完成のままの作品を流してしまうとは、低迷続きのフジテレビを象徴する『砂の器』だったといえるでしょう」

 まさに、貧すれば鈍するといったところだ。ちなみに、字幕の事故にはこんな例も。掲載写真の〈おいしかったです〉は、東山紀之演じる刑事が、土屋太鳳演じる重要人物に自己紹介する場面。東山の顔に字幕が被り、土屋もびっくりである。別の食事シーンでは、〈自分、朝から腹を下しておりまして。すいません〉との字幕も流れた。こんな作品となった経緯をフジテレビの企業広報室に訊ねると、

「制作の都合により、生で字幕を付けることになったため字幕が音声より遅れて表示されました。字幕放送でご覧になっていた視聴者の皆さまには大変ご迷惑をおかけしました」

 との回答のみ。視聴者からの電話がつながらないこともあったとか。しかし視聴率は11%超。成功と評される15%には届かなかったが、字幕という見どころで命拾いしたのかもしれない。

週刊新潮 2019年4月11日号掲載

ワイド特集「願わくは花の下にて」より

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