“令和は国書から初選出”に「昭和天皇」歌の指南役が異議 安倍首相の拘りが…

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「令和さん」の脳裏によぎった胸騒ぎ

 では、日本中の「令和」さんは、新元号が発表され、どんなお気持ちなのだろう。

「テレビで見て“なんでワシの名前が出てくるんや?”って思いました。兄弟や知人からじゃんじゃん電話がかかって来て“おめでとう!”って言われましたが、応対が大変なだけですわ」

 そう言うのは、兵庫県在住の仲西令和(よしかず)さん(81)である。

 もう一人、皇太子さまと誕生日まで同じというのは、東京・杉並区の山岸令和さん(72)である。こちらは「のりかず」と読む。もっとも、名前の由来は万葉集ではなくて、

「私の名前には“命令に従って和をもたらす”という意味がこめられています。軍人だった父親が、易者からつけてもらった名前でした」

 神奈川県藤沢市の大塚令和君(12)の読み方は、今風に「れお」だ。

「今年から中学生になるのですが、自己紹介で“次の元号と同じ字を書きます”と言えるので、ひとつネタが出来て良かった」

 と、嬉しそう。

 むろん、時代と名前が一致するという大きな重圧も感じているに違いないが、もっと複雑なのは、早稲田大学政経学部長の川岸令和(のりかず)教授。川岸氏は、マスコミからの問い合わせに、大学の広報課を通じて「お話しできません」とそっけない。

「心中複雑なものがあるのでしょうね」

 とは、早稲田の関係者である。

「川岸先生は、護憲派として知られ、憲法改正反対の共同声明に名前を連ねてもいます。改憲派の安倍政権が名づけた元号と同じ名前と知って、大喜びとはいかないでしょう」

 新元号、嬉しくもあり、嬉しくもなし。

週刊新潮 2019年4月11日号掲載

特集「『新元号』報じられない20の謎」より

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