習志野の「サイン盗み」はあったのか――エースに揺さぶり当然? 両監督の主張

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処分も覚悟の上

 林監督が続ける。

「もし、習志野が実力を発揮できずに次戦で負けていたら、騒動を引き起こした当事者として申し訳なく感じていたでしょう。彼らが勝利してくれてよかったし、チームを作り上げた小林監督の人徳も素晴らしいと思います。ただ、それだけに我々との試合は残念でなりません。私は習志野の1回戦、日章学園戦でサイン盗みに気づきました。ビデオを分析したところ、二塁ランナーのジェスチャーで球種を伝えていたことが分かりました。習志野戦の前に、石川県の高野連に所属する審判にもそのことを伝えています」

 しかし、先述の通り、試合中の審判団の判断は「“そういうこと”はなかった」。

 また、林監督は試合翌日、高野連に騒動を謝罪して口頭注意を受けている。

 それでも、

「私は野球界全体のためを想い、処分も覚悟の上で行動しました。私は野球部員と同じ気持ちで試合に臨み、1試合、1試合に勝負をかけている。だからこそ、私はあのような行動を取ったのです」(同)

 とはいえ、高校野球の監督が相手方に直接抗議すること自体、前代未聞である。スポーツジャーナリストの安倍昌彦氏によれば、

「林監督がここまで思い切った行動に出たのは、サイン盗みについて確信があったからでしょう。私が高校球児だった時代にもサイン盗みは平然と行われていました。正直なところ、直球か変化球かが分かれば、普段の打率が2~3割の打者でも5割は打ててしまう」

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