若狭勝元検事が処女小説を出版 「政界復帰? ないですよ」

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 最近はお笑い芸人や元新聞記者による小説は珍しくなくなったが、“元検事”によるものはなかなかない。

 元東京地検特捜部副部長で前衆院議員の若狭勝氏(62)がこのほど小説を出版した。その名も『分水嶺 濁流の果て』(日本橋出版)。

「いつかは小説を書きたいという思いがあったんです」

 とは、若狭氏ご本人。

「小学校の頃から、原稿用紙300枚以上の小説を書いていましたから。実際に本を書こうと思ったのは東日本大震災がきっかけです。若い頃に福島で勤務していたこともあり、身近に被害に遭われた方もいました。原発事故で運命が変わった方もたくさんいる。これは書き残さないといけないと、平成も終わるというタイミングで出版しました」

 もう一つの執筆動機は森友問題だった。

「個人的には日本の民主主義の一つの汚点だと思っていますが、近畿財務局の職員が自殺したことが特に心に残っています。あの事件が象徴しているのは、ひとつの小さなごまかしがやがて大きくなり、人生が大きく変わってしまうということ。個人ではどうにもならない悲哀を表現したかった」

 作品の中では、原発事故で東京への避難を余儀なくされた主人公が不倫の末、殺人を犯す。さらに彼がついた嘘で翻弄される遺族を描いた。

「殺人犯の内面の心理状態からどういう供述が生まれるか、丁寧に描きたいと思っていました」

 もっとも、自身は一昨年の衆院選で落選。一連の小池騒動の中で濁流にのまれた。

「小池(百合子)さんには本を渡していません。彼女に限らず、選挙応援などは断るようにしていますし。政界復帰? ないですよ」

 ひとつ足を踏み外せば、転落する人生。我々は細い径の上を歩んでいるのだと改めて気づかされる。

週刊新潮 2019年4月4日号掲載

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