コカイン逮捕で思い出す「勝新太郎」、保釈のピエール瀧とはスケールが違い過ぎてア然

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国会で取り上げられる

 そして8月には、ホノルル市内のハワイアン・ビレッジ・ホールで行われた「麻薬、非行防止のためのチャリティ」で講演を行うのである。黒のタキシードで現れた勝新が神妙に語り出す。

勝新:初めてハワイに来てから38年、身近に感じ、愛してきたハワイで今回のような間違いを犯し、ハワイの座頭市ファンの方々に何とお詫びしていいものか。未熟な私に対する神の罰と考えています。日本にいる私の家族、そして私自身も深い悲しみの中にいます。

 もちろんこれで終わらない。

勝新:最初はお受けしたものかどうか迷いましたが、神様がくれた1回のチャンスと思い、OKしました。今、日本、米国をはじめ、地球上の若者たちが麻薬の魔法に取り付かれて苦しんでいます。何とか、助けてあげたい。その一念です。

 自分のことは棚に上げている……かと思えば、

勝新:私は今、この苦しみからどうしたら抜け出せるかわからない。その苦しみを忘れないようにしてくれるもの、それがパンツなんです……。

 会場は爆笑に包まれたという。

 そのころのハワイでの生活ぶりはといえば、〈……悠々自適な生活を送っている。友人所有の「ザ・ロイヤル・キャピタルプラザ」という高級コンドミニアムを基盤に、3月に購入した2万ドル(約300万円)のキャデラックを乗り回し、2日に1回のペースでゴルフ場へ。顔は真っ黒に日焼けし、健康そのもの〉(「日刊スポーツ」90年10月10日付)だったという。

 勝新は、そのままハワイで年を越した。

 1年が過ぎ、91年4月になると、国会で勝新が取り上げられる。4月25日の参議院外務委員会で、社会党(当時)の肥田美代子議員(78)が青少年への薬物問題について質問したときのこと。

肥田:(中略)未成年者の大麻の乱用というのはまさに大人社会の乱用と連動しているように思えるわけです。
 特に最近、芸能人が不正使用して新聞紙上をにぎわすケースが多いのですけれども、一例を引かせていただきますと、俳優の勝新太郎がハワイにおいてコカインと大麻の所持容疑で現行犯逮捕されました。この事件について、現在のところどうなっていますでしょうか。

説明員:昨年の一月十六日に俳優の勝新太郎がホノルルの税関におきまして大麻九・七五グラムとコカイン一・七五グラムを所持していたということで摘発されまして、連邦の地裁から罰金千ドルの判決があったということは承っております。警察といたしましても、これにつきまして関心を持って所要の情報収集を行っているという実情にございます。

肥田:強制退去を命ぜられたということは事実ですか。

説明員:現在のところ、日本に帰ってくるということについてはまだ私ども聞いておりません。

肥田:そういたしますと、もう一年以上たつのですけれども、日本では強制的にこちらに引き渡し請求ができないわけですか。

政府委員:アメリカとの間には犯罪人の引き渡し条約があるわけでございます。その条約の対象犯罪に当たるかどうか、該当するかどうかということでございますが、具体的な捜査等、現在の状況でははっきりその点について申し上げることはできないという状況でございます。
肥田:今おっしゃったことを繰り返しますと、引き渡し条約でこちらが請求するほどに報告書が参ってないということですか、向こうから。

説明員:現在の段階では、引き渡しを求め得るまでの資料はそろっていないという状況であろうと思います。

肥田:これは報道にちょっと寄りかかりながらお尋ねするわけですけれども、日本で所持していたというふうにも書かれておりまして、日本で目こぼししたものがアメリカで検挙されたと。そうしますと、どうも芸能関係の人に日本の警察が甘いのじゃないかという感じを持つのです。

「ここまで言われては、警察も黙っているわけにはいかない。ようやく警視庁が重い腰を上げました。実際、5月に入ると、警視庁の捜査員4人が裏付け資料収集のためにハワイへ向かいました。すると、突然、勝さんも帰国を決めるのです」(同・芸能記者)

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